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週間読書日記
冬の旅の間、ずっと持ち歩いた「死刑」

大谷 昭宏

本
2月×日
 相変わらず大阪の自宅と、東京のホテルを行き来する日々。この日は、早朝、テレビ朝日の「やじうまプラス」を終えたあと夕方の「スーパーJチャンネル」までの空き時間に東京新聞の「ペット大好き」と日刊ゲンダイの「男が泣ける映画」の取材を受ける。「ペット大好き」は当然、わが家の愛犬「プルちゃん」のこと。こちらからお願いしてでも取材してほしいテーマだ。2誌とも取材が女性記者だったからではないが、予定時間を大幅にオーバー。

 いつもはこうした空き時間と、飛行機、新幹線での往復が至福の読書タイム。故・城山三郎さんの「そうか、もう君はいないのか」(新潮社 1200円)を手にする。城山さんというと、4、5年前、ともに個人情報保護法案に大反対したことを思い出すが、硬骨の人が愛した妻、容子さんへの思いが胸を打つ。

2月×日
 雪が降りしきる日も少なくない、冬の旅の間、重たいものを引きずることになってしまった。このところずっと森達也さんの「死刑」(朝日出版社 1600円)を持ち歩いている。森さんとは、この死刑問題などをテーマに何度もシンポジウムでご一緒している。「日本に暮らす多くの人は、視界の端にこの死刑を認めながら、(存置か廃止かはともかくとして)目を逸らし続けている。ならば僕が直視を試みる」という言葉が本書を端的に表している。私は死刑に対して存置論を崩さない。だが、森さんの試みを重く受け止めながら、アメリカの死刑廃止運動の女性リーダーの言葉、「人を殺してはいけないということを教えるために、あなた方はなぜ、もう一つ命を奪うのですか?」が雪の中、重くのしかかる。

2月×日
 堤未果さんの「ルポ 貧困大国アメリカ」(岩波書店 700円)を読む。堤さんは私が選考委員をしている日本ジャーナリスト会議黒田清新人賞の一昨年の受賞者。データを踏まえたしっかりしたルポに何度もうなずかされる。身近な人たちの素晴らしい活躍ぶりに、ふっと心が温かくなる。

 
(日刊ゲンダイ 08年2月29日付けより)


城山三郎『そうか、もう君はいないのか』|書評/対談|新潮社
 http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/310817.html
asahi.com:死刑 [著]森達也 - 書評 - BOOK
 http://book.asahi.com/review/TKY200802120170.html
今週の本棚:『ルポ 貧困大国アメリカ』=堤未果・著 - 毎日jp(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20080210ddm015070025000c.html

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