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小平選手の心に染みる言葉
− 平昌五輪閉幕 −
さわやかな熱い大会だった。おととい閉幕した平昌オリンピック。いまも余韻にひたっている方も多いのではないだろうか。私もそのひとり。羽生結弦選手のやり切ったあの表情。なかでも込み上げてくるものがあったのは、女子スピードスケート500メートル。銀メダルとなって国旗を背に泣きじゃくる韓国の“氷上女王”李相花（イ・サンファ）選手を抱き寄せた金の小平奈緒選手。「あなたをリスペクトしているよ」とささやいたと、あとで知った。
ときとして心に染みる言葉の出る小平選手。じつは女子団体追い抜きで見事金メダルに輝いた高木姉妹の妹、美帆選手のはじけるような笑顔を見ていて私は「そういえばふたりのことをこのフラッシュアップに書いたぞ」と、はるか昔のことが浮かんできた。スクラップブックを繰ると、ありましたね。なんと前回のソチではなく、このコラムがまだ西日本版だけに載っていた2010年バンクーバー五輪。
小平選手は中学２年で大学、高校生に交じってジュニア・スプリントに優勝。期待の星といわれながら、大学進学やけがで練習不足が続き、この五輪に出場した時は23歳。遅咲きの花がやっと開いて女子団体追い抜きで銀メダルとなった。
なんとこの五輪に当時中学３年、15歳の高木美帆選手が出場していたのだ。だけど高木選手は世界が注目するなか、個人1500メートルで23位、1000メートルで最下位の35位。そんな高木選手に小平選手はかつての自分の姿をだぶらせたのだろう、口をついて出た言葉は、当時の私のコラムによると「（オリンピックの結果で）スケートを嫌いにならないでほしいな」。
ところが高木選手は、なんと４年後のソチではまさかの日本代表落ち。そして迎えた平昌では、まず1500メートルで銀、1000メートルで銀の小平選手に続いて銅。小平選手の「並んでもう１段高いところ」の「並んで」はかなわなかったけど、小平選手は500メートルで金。高木選手は女子団体追い抜きで金を取って、見事、女子日本五輪初の金銀銅メダリストとなったのだ。
代表落ちしても、オリンピックを嫌いにならなかった、あのときの女の子に小平選手は何をささやいたのだろうか。追い抜き戦の前、「もっと輝く景色を見たい」と言っていた高木選手。平昌のアスリートは、そろって輝く景色を見せてくれた。
（日刊スポーツ「フラッシュアップ」2018年2月27日掲載）
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