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人形 フラッシュアップ


おためごかしのお題目にうんざり
— 佐世保同級生殺害 必要なのは早期治療 —

 教育界だけではない。大人たちはいつまでこんな勘違い、履き違いを続けるのか、そんな苛立ちの日々が続く。
日刊スポーツの実際の記事画像
 長崎県佐世保市で高1の少女が同級生を惨殺した事件。一報を聞いて、10年前、私も現場を走りまわった同じ佐世保の小学生女児同級生殺害事件を思い起こした。

 さらに遺体を傷つける犯行形態から、1997年の神戸連続児童殺傷事件が否応なく胸に浮かぶ。この事件の被害者のお父さん、土師守さんとは、つい2カ月前にお目にかかり、このコラムにも書かせてもらった

 だが、その後の現地からの報道はピント外れもいいところ。イライラさせられるばかりだ。「実らなかった長崎の心の教育」「肩を落とす教育関係者」。佐世保市では10年前の事件を契機に、毎年6月を「いのちを見つめる強調月間」にしていたとも報じられていた。

 だけど、そのことと今回の事件と一体、どんな関係があるのか。少女を診断していた精神科医が児童相談所に通報したように、少女は明らかに精神を病んでいた。それは神戸の少年Aも同様で、Aは医療少年院に送られた。また、佐世保の小学校同級生殺害事件の女児も心理療法を行なう国立の自立支援施設に収容されている。

 つまりこの少年少女たちは、重篤な精神疾患のなかにいたのだ。なのに、どうして社会は、大人は、そのことを直視しないのか。病である以上、それを治癒させられるのは教育ではない、医療であるはずだ。それなのに、こうした事件が起きるたびに、やれ全校集会だ、保護者会だといって、命だ、心だ、と説諭される生徒や親はたまったものじゃない。

 今回の佐世保の少女も、また神戸の少年Aもしかり。多くの精神医学者や心理学者が指摘しているように犬や猫への虐待、人体に対する異常な興味。ナイフやハンマーなどへの執着。事件の前に必ず異常な行動が見られるのだ。そのときこそ、教育界は、大人は、この子には一刻も早い治療が必要だと、勇気をもって声をあげようではないか。そのことが、なにより本人のためでもあるはずなのだ。

 もう、おためごかしのお題目はうんざりだ。いま「心の教育」を一番必要としているのは教育界であり、社会全体なのかもしれない。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2014年8月5日掲載)




「佐世保 殺害」の検索(Yahoo!ニュース)
 http://news.search.yahoo.co.jp/search?p=佐世保+殺害
佐世保小6女児同級生殺害事件(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/佐世保小6女児同級生殺害事件
神戸連続児童殺傷事件(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/神戸連続児童殺傷事件



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