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紫陽花 フラッシュアップ


少年法 厳罰化だけでいいのか
— 神戸連続児童殺傷から17年 —

 1997年、社会を震撼させた神戸連続児童殺傷事件から17年、何年かぶりに現場を訪ね、被害者淳くん(当時11)のお父さん、土師守さん(58)をインタビューさせていただいた。
日刊スポーツの実際の記事画像
 淳くんが大好きだったおじいちゃん。事件の日、淳くんは自宅からほど近い祖父の家に遊び行く途中、少年A(当時14)に襲われた。そのおじいちゃんもいまは、80歳を超えて介護施設に入所。土師さんは、そのお見舞いの帰りだという。

 淳くんは、元気だったら今年28歳。「11歳で止まったままの淳の28歳は想像もできない」という。一方でAは、もう31歳。事件から7年後の04年に関東医療少年院を退院、この10年、日本のどこかで社会復帰して働いているはずだが、これは法務当局の厳重な秘密下に置かれている。今年も命日を前にAから手紙が届いた。

 「年を経るごとに人間として成長していることはうかがえます。だけど自分が犯してしまったことを受け止め、なぜあのようなことを、と向き合って答えを出すところまではいっていないように思います」

 たしかに、この事件をきっかけに少年犯罪を取り巻く環境は大きく変わった。更生から刑罰へ。14歳でも刑事責任を問えることになったし、少年審判でも被害者遺族に一定の情報は公開されることになった。

 さらに凶悪事件の厳罰化も進み、今国会で最長15年の有期刑が20年まで引き上げられた。だが、土師さんはその流れを評価しつつ、「ただ長い間、服役させておく。それでいいのでしょうか。大事なことは、その間にどういう矯正教育を受け、どういう人間に成長し、犯した罪をどう受け取めているか。遺族が知りたいのはそのことなのです」

 よく女の子と間違えられたという、キューピーさんそっくりの愛らしい顔のまま止まった淳くん。その一方で、どこかの町で社会人として働いている元少年。土師さんは裁判員裁判の市民と同様、生涯守秘義務を課されてもいい、「それでも加害者がいまどうしているのか、淳に伝えてやるのが親の責務だと思うのです」

 厳罰化の流れは否定しない。ただ、少年法がもう少し遺族に顔を向けてもいいのでは、と思うのだ。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2014年6月3日掲載)




神戸連続児童殺傷事件(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/神戸連続児童殺傷事件
少年犯罪データベース
 http://kangaeru.s59.xrea.com/
少年法(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/少年法



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