だから野球は面白い
− 敬遠の球を打った新庄&クロマティ −
「先週、新庄選手とクロマティ選手の敬遠球ヒットのところは視聴率がググーン伸びてましたよ」。大阪・朝日放送の夕方の番組「キャスト」(月〜金・午後4時58分〜)の打ち合わせ。野球大好き、オリックス命の女性スタッフが前の週を振り返ってニコニコしている。
ニュースの合間に放送した「2018年野球が変わる」のコーナー。投手の2段モーションの見直しやビデオ判定へのアピール。なかでも一番時間を割いたのが申告敬遠制。試合時間短縮のために監督が主審に「敬遠」と告げれば、打者に4球ボールを投げなくても敬遠となる新しい制度。だけど意見を聞かれたココリコの遠藤章造さんも、私も、「絶対ハンターイ」。
まず阪神がすべて、トラ命の遠藤さんが「阪神‐巨人延長12回。あの新庄が槙原の敬遠球をバシッと打って、サヨナラ勝ち」と、1999年6月、阪神が5‐4で勝った試合を持ち出す。
この試合、新庄剛志選手は3日前から、自身も日ハム時代に敬遠球を打ったことがある柏原純一打撃コーチと打ち合わせ。1球目はホームから離れて立って、投手を油断させて2球目はそっとホームににじり寄って、三遊間にカーン。「野球の醍醐味はこの心理戦」と遠藤さんが新庄選手を絶賛すれば、巨人命の私が「オットみなの衆、あのクロマティ選手をお忘れか」。
巨人ファンにこよなく愛されたクロマティ選手は、新庄選手からさかのぼること9年。27年前の1990年6月、広島東洋カープ戦で9回裏、金石投手の敬遠球をガツンと打って、これまたサヨナラ勝ちしているのだ。
ところがだ、なんとスタジオは遠藤さんを除いて、30歳前の男性アナも女子アナもキョトン。新庄は知っていても、クロマティって誰? あせった私は「クロマティといえばだな、デッドボールを頭に受けて担架で運ばれて、その翌日、生タマゴ1個飲んで、代打満塁ホームランを放った、伝説の男だあ」。
だけどスタジオは、生タマゴで、ホームラン???私と遠藤さんはますます浮いて、最後は大爆笑。でも、それが視聴者には大受けだったという。
これだからこそ、スポーツも野球も楽しいなあ。極寒の冬を抜け、時代と世代を映し出しながら、プロ野球セ・パともには3月30日開幕だ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2018年2月13日掲載)
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