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相撲 フラッシュアップ


貴親方が伝えたかったこと
− 「もめ事の域を超えている」日馬暴行 −

 貴乃花親方とは数年前、旧知のスポーツライターのお誘いでラグビートップリーグのコーチを交えて4人で食事をしたことがあった。稽古のこと、部屋のこと、会話の大半が最後は相撲道につながり、どこか求道者のように感じたものだった。
日刊スポーツの実際の記事画像
 横綱日馬富士が、その貴乃花親方の弟子に暴行した事件で、親方は相撲協会からの協力要請も拒否、沈黙を貫いている。そんな中、かつてご一緒したスポーツライターから「やっと親方と電話でじっくり話ができました」と連絡があった。親方は「いまは口を開くと、波紋が大きそうなので」と当面、取材にも応じないとしながらも、ただし自分の発言ではないものがひとり歩きしている、その点をぜひ報道の方に伝えてほしいと話したという。

 いくつかの問題が口にのぼった中で、親方がもっとも気にしていたのが、一部の新聞、テレビが〈鳥取県警に被害届を提出した際、貴乃花親方は「相撲協会内のもめ事の域を超えているので警察に来た」と話していた〉と報じたことだった。親方は「あれは私ではなく、鳥取県警幹部の言葉」と語気を強めたという。 

 対応した県警捜査幹部は暴行を受けた状況、けがの状態、何より被害を受けた貴ノ岩の気持ちを聞いて「これは相撲協会内のもめ事の域を超えている」として「厳正に捜査するので、あとのことはくれぐれも警察に任せてほしい」と言ってくれたという。

 長年、事件を取材してきた経験からすると、親方の言葉はストンと胸に落ちる。事件の性格からみて、県警は「もめ事の域ではない」と判断した。だが企業、学校、役所など組織で起きるこうした事件は、届けたあとに組織による甘言、泣き落とし、それもダメなら左遷や退職の脅し。結果、被害者は「被害届を取り下げたい」「なかったことに」…。警察は何度も苦い思いをしてきたのだ。だが、今回のことは協会がどうであれ、社会が許さない。だからこそ「あとのことは任せてほしい」としているのだ。

 親方はほかにも、一時は引退まで口にした愛弟子に落ち度があったように言われていることへの憤りを再三、口にしていたという。

 もとより親方を全面的に支持する気はない。ただ事態が「もめ事の域を超えている」ことは確かなのだ。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2017年11月28日掲載)



日馬富士公平(Wikipedia)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/日馬富士公平
暴行罪(Wikipedia)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/暴行罪
相撲界(Google ニュース検索)
 https://www.google.co.jp/search?newwindow=1&q=相撲界


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