新しくさわやかな風が吹き始めているよう
− 「立憲」と「民主」の言葉に若者が反応 −
衆院選が終わって1週間。小池百合子代表(東京都知事)のお膝元、東京でも大惨敗した希望の党では、「代表のひと言がみんなを路頭に迷わせた」「責任取るのか」と、早くも大もめ。
片や松井一郎代表(大阪府知事)率いる日本維新の会。こちらも東京に引けをとらない負けっぷり。さっそく若手議員から松井代表の責任を問う声が上がると、おお、久しぶり。橋下徹前大阪市長が「お前が勝てたのは、松井さんが知事をやっているからだ。ボケ!」と、なんともお下品なキレっぷり。どちらもみっともないな。恥ずかしいなあ。
そんなとき、ジャーナリストの津田大介さんがウイスキーの香りに乗せて楽しい話を聞かせてくれた。
党ができたのは、なんと公示日の1週間前。なのに比例区では候補の数が足りなくなって自民に1議席譲ってもなお、現有15の3.7倍55議席を獲得した立憲民主党。まるで一夜にして大輪が開いたような大躍進。
「ご存じでしたか? じつは雨の日も風の日も、あのシールズの若者たちが走りまわっていたのです」
ほおー、ちょっとご無沙汰していたSEALDsのメンバー。忘れもしない2年前の9月、安保法制に反対して、国会前でラップに乗せて「勝手に決めるな!」「民主主義ってなんだ!」。ついには60年安保闘争をはるかに超える12万人が国会を取り囲んだのだった。
その後、全国に散っていた若者たちが、今回は「立憲」と「民主」の言葉にいち早く反応した。最初に決めたことは候補者は街宣車の上に立たないこと。国会前と同様、聴衆と同じ目線のビール箱の上。雨の日はお付きに後ろから傘を差させるなんてとんでもない。白いビニールコートで通したのだった。
そして最大の武器は安保法制の時と同様SNS。街頭演説の時間、場所はツイッターユーザーがつながりやすくなる#のついたハッシュタグで知らせた。そんなことが功を奏して選挙期間中のツイッターフォロワーは19万人。新米小政党なのにダントツだった。
選挙期間中は「排除」。終わってみれば、とってつけたように「謙虚」。嫌なことばかりが目につく政界だが、これまでの吹いてはやむ旋風ではない、新しくさわやかな風が吹き始めているように思えるのだった。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2017年10月31日掲載)
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