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新聞 フラッシュアップ


「博多金塊」意義ある地方のスクープ
− 2017年度新聞協会賞 −

「手前みそなテーマでコメントをお願いして恐縮しています」。そう言いながら電話の向こうの記者からはほほ笑みがこぼれ落ちているようだった。2017年度日本新聞協会賞に西日本新聞社(福岡)の「博多金塊事件と捜査情報漏えいスクープ」が選ばれ、社会部の記者が「受賞についての感想と、おめでとうコメントを」と言ってきた。
日刊スポーツの実際の記事画像
 事件は昨年7月、白昼の博多駅前で金塊16キロ、7憶5000万円相当が数人組の男に盗まれた。福岡県警は事件そのものを公表しなかったが12月、西日本新聞が窃盗事件としては過去最大の被害額となるこの事件を特報。今年5月には犯人グループの一斉逮捕を事前にキャッチ。さらには愛知県警の警察官が捜査情報を主犯格の男に漏らしていた事実を明らかにした。

 まさに3打席連続ヒット。だけど私はスクープというだけではない、いくつかの理由をあげておめでとうコメントさせてもらった。

 ここ数年の受賞記事をみると、昨年は「天皇退位のご意向」(NHK)、2015年「群馬大学連続手術事故」(読売)、2014年「猪瀬都知事に5000万円提供」(朝日)。いずれも賞に値する報道に違いない。だが、私たち現場取材が長かった記者からすると、事件現場の“抜き”の色合いは薄い。今年のノミネートに読売の「安倍首相単独インタビュー」があると知って、冗談かと思った。

 それはともかく、今回の受賞記事は警察の捜査をスッパ抜いた典型的な特ダネ。加えてこうした記事によって博多周辺だけでなく、東京、佐賀などで金塊を密輸して売りさばくビジネスが横行していることが明らかになった。世間に警鐘を鳴らしてくれたのだ。

 もうひとつ、ここ数年の受賞を見ると、NHK、朝日、読売、毎日といった圧倒的な取材力を持つ組織が並ぶ。その点、西日本は福岡を拠点に九州一円をエリアにするブロック紙。久しぶりに地方の意地と元気をみせてくれたのだ。

 だが受賞が報じられた朝の新聞、テレビは女性議員の不倫一色。もちろん私生活といえども、公人は報道に値する。だけど読者、視聴者は何を望んで私たちにペンを、カメラを託してくれているのか。西日本の受賞は、そのことに一石を投じているように思うのだ。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2017年9月12日掲載)



新聞協会賞受賞作|新聞協会賞|表彰事業|日本新聞協会について|日本新聞協会
 http://www.pressnet.or.jp/about/commendation/kyoukai/works.html
博多金塊事件(Google 検索)
 https://www.google.co.jp/search?newwindow=1&q=博多金塊事件
報道(Wikipedia)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/報道


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