終戦の日に忘れてはならないこと
− 本田靖春さん亡くなり13年 −
きょう8月15日は終戦の日。「戦争に季節なんてないけど、夏というと戦争を思い出す」と言っていたのは、亡き黒田清さんだ。そんな夏、毎日新聞の8日付夕刊の<会いたい 2017年夏>の特集面、「弱者描く反骨のペン ノンフィクション作家、本田靖春さん」の記事に私の拙いコメントも載せていただいた。
毎日新聞では、この季節、もし、その人が存命だったら、いまの日本の社会に、政治に、そして戦争と平和についてなんと語られるか。記者がその方と生前懇意にされた人を訪ねていくというユニークな特集を掲載。今年は本田さんのほか司馬遼太郎さん、阿久悠さんたちについてゆかりの人々が熱い思いを語っている。
本田さんは東京、大阪の違いはあるが、黒田さんと並んで読売社会部の大先輩。とは言え、年は私よりひと回りも上で、戦時中の記憶もある。私ごときがご縁を語るのはおこがましいとも思ったのだが、振り返れば、本田さんが亡くなってすでに13年。仕事で、お酒で、直接会ったという人も随分と少なくなっている。
ならばと、本田さんに<会いたい 2017年夏>とやってきてくれた井田純記者のインタビューを受けたのだが、その井田記者は、30代とは言わないが確実に私よりふた回りは年下。だけど「誘拐」や「私戦」「不当逮捕」、本田作品への思いは尽きない。だが2人して何より多くを語り合ったのは本田さんの戦争と平和への考え、そして憲法。なかでも絶筆となった「我、拗(す)ね者として生涯を閉ず」に記された憲法へのたぎるような思いだった。
あの思いこそ、いまの若い人に知ってほしいよね。井田記者と話した本田さんの書にある文章の一部を、きょう終戦の日に載せておきたい。
<忘れてもらってはいけないことが、一つある。君たちの父祖が焼土の中から立ち上がって交戦権の放棄を宣言し、軍隊を持たないことを内外に誓ったことを。わが国は理想的な国家のありように先鞭をつけたのである。なんと素晴らしいことか。戦争は災禍しかもたらさない。その事実を身に沁みて知っているから平和主義に貫かれた新憲法を心の底から歓迎した。そのことを忘れてはならない…>
忘れようとしているのはだれだ。忘れさせようとしているのは、だれだ!
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2017年8月15日掲載)
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