“ピッチャー安倍”もうヘロヘロ
− 「短命守備固め内閣」命名 −
先週末、発足した第3次安倍改造内閣。大阪・朝日放送の夕方ニュース番組、「キャスト」でテレビの定番、「この内閣を名付けると?」の問いに、私は「短命守備固め内閣」と答えた。野球好きのとっさの思いつきだけど、いまも結構、気に入っている。
記者会見で安倍首相は急降下した支持率を踏まえて、「国民の大きな不信を招いた。おわびしたい」と約10秒、頭を下げた。だけど不信を招いた森友、加計、陸自日報の疑惑隠しについて「徹底的に解明する」の言葉はない。要するに安倍‐菅のバッテリーのほかには、ほとんどが大臣経験者の超ベテランを並べて疑惑隠し。これ以上、失点はしないという鉄壁の守備陣なのだ。
だったらなぜ、短命なのか。いまの自民党には大臣適齢期、首が伸びきりそうな大臣待ちの議員が60人もいる。なのに守備固めに徹したため今回、19人の閣僚中、初入閣はたったの6人。いわば選手同士のポジション争いをよそにトレードやFAですぐに超大物をもってくる、どっかのチーム並み。そうなるとチーム内のマグマはふくれるばかりだ。
それに加えてもう一点。これまで安倍1強体制で、ブルペンにはだれもいなかった。だが今回、岸田文雄外相が「俺、次に投げるし」と言って、守備を離れてブルペンへダッシュ。そうなると、ベンチの選手が試合の流れより気になってしょうがないのは、岸田投手の肩の温まり具合だ。
もしここで安倍‐菅のバッテリーがボコボコにされて、早めの岸田登板となれば、それにともなって「選手の交代をお知らせします。3番、サード○○に代わって○○」となって、待ちに待った自分の出番がやってくるかもしれない。
だったらピッチャー安倍は、さっさと打ち込まれた方がいい。そんなチームが長持ちするわけがない。間違いなく短命内閣なのだ。
でもなあ、ぶっちぎりの首位だった相手チームがこんな具合なのに、疑惑追及で相手の守りを打ち破るはずの野党はいったい何をしているのだ。向こうのピッチャーがヘロヘロのときに、なんだって? こっちも投手、いや党首でもなかった、代表交代だってか。
長い低迷を抜け出して、まっ赤なユニホームで猛ダッシュ、猛追。ライオンズのような戦いを見せてくれ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2017年8月8日掲載)
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