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死ぬ時、そこがてっぺん
− 映画「笑う101歳×2笹本恒子むのたけじ」 −

 したたかに、しなやかに─。そんな思いが胸を行き来する1日だった。「笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ」の映画の公開に合わせて、主人公の1人、笹本さんをインタビューしてきた。
日刊スポーツの実際の記事画像
 笹本さんは日本初の女性報道写真家。今年9月で103歳になる。むのさんは、このコラムでも何度か書かせていただいた。私たちジャーナリストの大先輩、終戦を機に朝日新聞に辞表を出し、郷里の秋田県横手市に戻って「週刊たいまつ」を発刊し続けた。2015年、安保法制審議がヤマ場を迎えたころ、名古屋テレビ(メーテレ)の戦後70年企画でインタビューさせていただいたが、昨年8月、101歳で亡くなられた。

 ともに反戦と平和、権力の暴走にペンを、カメラを向けてこられたが、映画は「笹本恒子100歳展」でふたりが深紅のバラを手にして、むのさんが「赤いバラはいのちを表す花だ」と笑顔をはじけさせるところから始まる。

 河邑厚徳監督は「筋を通してこられたふたりを描くと同時に、人生わずか50年といわれて半世紀もたたないうちに、私たちは100歳を生きる時代。その新たな50年をどう生きるのかを、このおふたかたを通して描きたかった」という。

 だからふたりの過去を振り返るシーンは、ほんの一部。戦前、軍の暴走を批判、「共存共栄、世界の平和。かくのごとき雲をつかむような文字を並べ立て」と演説して国会を追われた斎藤隆夫議員と、その演説を取り上げたむのさんの記事。どこかいまの日本の行く末を暗示しているような場面が数カットがあるだけだ。

 ふたりの100年の軌跡とともに強く打ち出されるのは、河邑監督が「しなやかで、カッコよく、永遠の少年少女」という生き方だ。

 むのさんが「死ぬ時、そこがてっぺん」と言い切れば、笹本さんは「いくつになっても現在進行形」。歌人、斉藤史が詠んだ〈老いてなほ 艶とよぶべき ものありや 花は始めも 終わりもよろし〉の歌を胸に、新たな著書の執筆中だ。

 人生のてっぺんに向かって、現在進行形のこのコラムの読者のみなさんに、ぜひご覧になっていただきたい映画、「笑う100歳×2…」はヒューマントラストシネマ有楽町などで公開中。その後、全国巡回する。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2017年6月13日掲載)



笹本恒子(Wikipedia)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/笹本恒子
むのたけじ(Wikipedia)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/むのたけじ
映画『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』 公式サイト
 http://www.warau101.com/





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