森友学園理事長夫妻の「贈賄申し込み」
− 鴻池議員に告訴告発促すべき −
わが家の近くで梅が七分咲き、ユキヤナギが芽を吹いている。その豊中が大騒動に巻き込まれている。幼稚園児が「安倍首相、ガンバレ!」の森友学園だ。神道教育の小学校設立を目指すこの学園は、かつてそんな自民党議員もいたが、まさに疑惑のデパート、疑惑の総合商社。
8割引きの国有地に、安倍首相名での寄付集め、さらには昭恵夫人の名誉校長。ただし、ケシカラン、アヤシイだけでは犯罪にならない。摘発の端緒にならない。なんとも歯がゆい思いをしていたら、おお、なんと共産党に追い込まれて、大魚が向こうから飛び込んできたではないか。こんなときに検察もメディアも、ぼーっとしていてどうするんだ。
2014年4月、森友学園の籠池泰典理事長と妻が鴻池祥肇参議院議員(76)の議員会館にやってきて、「おばはんが泣きながら、一瞬でカネとわかるものを出して」財務か大蔵にお願いがあるとチラッと聞いたので「無礼者と言って追い返した」と、記者会見を開いて身ぶり手ぶりの長広舌。だけどこの一件、こんな演説を拝聴している場合ではない。小躍りしたくなるような事態ではないのか。籠池理事長と妻を逮捕する絶好の機会が向こうから転がり込んできたのだ。
鴻池議員は「コンニャクだか、天ぷらだか」とも言っているけど、なんのことはない。当の籠池理事長が現金と同じとみなされる「商品券だった」と言い、加えて財務省への働きかけを相手に認識させているのだから、これは文句なしに刑法の「贈賄申し込み」に当たるはずだ。
この罪は警察学校の初任科の段階で必ず頭にたたき込まれる。交通違反を見逃してくれと相手がお金を見せた瞬間、有無を言わせず手錠をかけて、「贈賄申し込みで現行犯逮捕する」と告げなさいと教え込む。そうでないと、遠くで見ている人には警察官がお金を要求しているように見えてしまうこともあるからだ。
ならばこの際、メディアは鴻池議員に、なぜ、この無礼者を贈賄申し込みで告訴しないのか、問いただすべきではないのか。検察は鴻池議員と事務所に、速やかに籠池夫婦を告訴告発するよう促すべきではないか。
贈賄罪の時効は3年。2014年4月の事件は、桜が散るころには一緒に散ってしまうのだ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2017年3月7日掲載)
|