文殊の知恵出し新発想候補地を
− 東京五輪の会場見直し問題 −
「三人寄れば文殊の知恵」は、3人ががんばれば知恵の仏様、文殊菩薩に並ぶ知恵が出てくるということわざ。TBSテレビ「ひるおび!」(月〜金曜、午前10時25分)のスタジオで3人のゲストを横に、ここで出た知恵をそんなふうに使えないかと、ひとり考えていた。
この日のテーマの1つが小池東京都知事が打ち出した2020年東京五輪の会場見直し問題。バレーボール、水泳会場と並んで対象になっているボート・カヌーの東京・海の森水上競技場についてだった。
ゲストは東京五輪誘致にもかかわったスポーツ法学会理事の鈴木知幸さん。スポーツ評論家の玉木正之さん、そしてロンドンまで五輪ボート5大会連続日本代表の武田大作さん。
スタジオではこのゲスト3人に「どちらかと言えば」の注釈つきで、海の森のほか埼玉・彩湖、宮城県登米市の長沼ボート競技場の候補地3会場のうち、どれがいいか札を出してもらった。
鈴木さんは「2万人の観客席をすべて仮設にするなど予算の大幅削減」を条件に海の森のまま。玉木さんは「そもそも復興五輪だったじゃないか。被災地はスポーツ競技をもってくることで、どれほど沸き立つか」と、長沼ボート場。そして武田さんは「いくらなんでも390キロ離れた登米は遠すぎる。それにボートの聖地といえば、荒川の戸田。そもそも五輪はアスリートファーストだったのではないか」と、戸田。100歩譲って近くの埼玉・彩湖。
なるほど、こうやってみてくると、文殊の知恵のことわざどころか、どれも帯に短しタスキに長し。だけどここは発想を変えてみたらどうだろう。そもそも当初69億円だった建設費が、いつの間にか491億円。先日、都が保育園待機児童のために組んだ緊急予算は120億円。建設費のこの高騰ぶりに都民が納得するはずがない。
だったら69億円とは言わないが、100億か200億円、みんなが納得できる予算で現在の候補地にこだわらず、被災地にも近いボート競技場を造ることはできないのか。
費用の高騰で途上国どころか先進国も辞退が相次ぐ五輪。ここは日本の技術、節約術で2020東京以降、途上国も手を挙げられる五輪になったと言われるように、五輪の輪を知恵の輪にできないものだろうか。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2016年10月18日掲載)
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