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アジア フラッシュアップ


二重国籍問題「それがどうした」
− ひどい選挙戦だった民進代表戦 −

 蓮舫さんとはテレビのスタジオで2、3度、ご一緒しただけなのに先週行われた民進党の代表選、ぶっちぎりの勝利に心からの拍手を送った。というのも、これが革新、平和、人権の党の代表を決める選挙か、と叫びたくなるほどひどい選挙戦だったからだ。
日刊スポーツの実際の記事画像
 蓮舫さんに、お父さんの母国、台湾の籍が残っている、いわゆる二重国籍の件が指摘されたとき、私が思ったことはたったひとつ、「それがどうした」だった。

 なのにどうだ。それを知った前原、玉木陣営は「過去の説明と違う」「公党の代表の資格があるのか」。

 人が自分で選ぶこともできない出自、流れる血、それをあげつらい、攻撃し、卑下する。これがどれほどひきょうなことか。人として絶対してはならない、あるまじき行為だということをだれか言い出さなかったのか。

 こんな状況にあの敗戦時、旧満州(中国東北部)に置き去りにされた残留孤児と、その子どもたちの姿を思い浮かべた。やがて現地で中国人と結婚、父や母となった孤児たちは子どもを連れて1980年ごろから相次いで日本に永住帰国。そのとき、多くはまだ10歳にもならない孤児2世の子どもたちを迎えた日本の大人たちがまず口にしたのは「この子には日本人の血が流れているから、言葉もすぐ覚えるさ」。

 だが、言葉も一向に上達せず、日本の習慣にもなかなかなじまないと知ると「日本人のくせに」「この子は中国人の血が勝っているんじゃないのか」。

 そんな心ない言葉に「ごめんね」としか言えない母の胸をたたいて「なんで私を日本に連れてきたの」と、泣き叫ぶ子どもたちをどれほど見てきてことか。言うまでもない。人は出自や血が育てるのではない。慈しんでくれる大人が、友が、土地が、風土が、育み、伸ばしてくれるのだ。

 このたびは他党どころか、同じ党の仲間から出た言葉。だが、それをサラリと受け流し、女性の進出を阻害するグラスシーリング(見えない天井)と闘うという蓮舫さん。こんな人と人の壁も、ぜひ打ち破ってほしい。

 そうそう、月末からの臨時国会。与党はまるで国籍問題なんかなかったように民進党と政策一本で渡りあってほしい。そこに、あの代表選のときの自分を恥じ、スゴスゴと議場を去る民進党議員の姿を見てみたい。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2016年9月20日掲載)



蓮舫(Wikipedia)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/蓮舫
多重国籍(Wikipedia)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/多重国籍
民進党 | 国民とともに進む。
 https://www.minshin.or.jp/


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