「夢は牛のお医者さん」が本に
− 押しかけ応援団の血また騒ぐ −
押しかけ応援団の血がまた騒ぎ始めた。テレビ新潟から手紙と一緒に、かわいい子牛の絵本と、これまた、かわいらしい少女と牛が描かれた表紙の文庫本が届いた。
<一昨年3月、劇場公開された弊社制作のドキュメンタリー映画「夢は牛のお医者さん」は47都道府県での上映実績を達成し、自主上映は300回近く、観客動員は6万8000人を数えるほどになりました。これも皆様のおかげと…>
これはまた、なんともうれしいおたより。私がこの作品に出合ったのは民間放送連盟賞の地区審査員をしたときだから、もう12年前。すっかりほれ込んだ私は、あちこちで押しかけ応援。地方局のこうした作品が劇場公開されるのは珍しく、そのときもこの「フラッシュアップ」で<「夢は牛のお医者さん」順次公開>とエールを送らせてもらった。
新潟県の雪深い山あいの小学校。高橋知美さんが3年生だったとき、同級生は9人。その年、新入生はなく、かわりに入学したのは3頭の牛だった。ドキュメンタリー作品は1987年のこのときから始まって、じつに26年、カメラをまわす。強子(つよし)と名付けた1頭の尻尾をつかんで散歩させる知美さんの笑顔。牛のおなかを枕に昼寝する子どもたちの柔らかな寝顔。
だけど別れはやってくる。牛たちの卒業証書を読み上げながら、泣きじゃくる子どもたち。知美さんは幼心に、強子が病気になったとき飛んできてくれた獣医さんに、自分もなろうと決めたのだった。高校時代から家を出て下宿生活。そして難関の国立大獣医学科へ。卒業した知美さんが働く家畜診療所の訪問先には、あの強子たちを貸してくれた畜産農家も含まれている。知美さんはいま、2人の子どものママでもある。
劇場公開から2年余り。今度は絵本とジュニア文庫が小学館から同時に発刊されたという。江頭路子さんの透き通った水彩画の絵本に、赤羽じゅんこさんのやさしい語り口の文庫本。そう、子どもたちは先週から夏休み。自由研究に、読書感想文に、この2冊はいかがだろうか。と、ここまできたら応援団から自主上映の窓口も一緒に知らせておこう。
「夢は牛のお医者さん」(テレビ新潟)
http://www.teny.co.jp/yumeushi/selfos.html
「夢は牛のお医者さん」を追い続ける私の夢の続きも、まだまだありそうだ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2016年7月26日掲載)
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