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河原 フラッシュアップ


決死の救出作戦…隊員にねぎらいを
— 不幸な災害が残した教訓 —

 出演している番組は今週も茨城や宮城、栃木を襲った洪水災害のニュースが続く。いまだ行方不明の方々の1日も早い発見を祈りつつ、いつまでも自衛隊、警察、消防などの、あの決死の救出作戦を心にとめておられる方も多いのではないか。
日刊スポーツの実際の記事画像
 鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市の現場。2匹の犬を抱いて屋根に逃れたご夫婦。じりじりしながら見ているなか、数分後、現れたヘリから降り立った隊員は、まずワンちゃんの頭をやさしくなでて落ち着かせ、続いて用意したキャリーバッグに収容。夫婦と2匹のワンちゃんは確実にヘリに吸い込まれていった。その姿に私は、こんな心根の隊員に将来、血を流させることがあってはならない、なんて勝手に思っていた。

 こうして現地からのリポートをスタジオで受けながら、数年前、毎月のように取材で通っていた熊本県の川辺川を思い出していた。

 日本3大急流のひとつ、球磨川の支流の川辺川。ただし急峻な川筋が続くため、下流の人吉市などは昭和40年洪水をはじめ、大水に泣かされ続けてきた。そこで、あの子守歌で名高い五木村の大半が湖底となる巨大な川辺川ダムの建設が1966年に決定する。その一方で川辺川は、30センチもある尺アユが生息する清流。

 「洪水から町を守れ」「かけがえのない自然を残せ」。住民同士や、町や村をあげてのいがみ合いに発展。その間に工事費は、あの新国立競技場の当初の巨費に近い2200億円にまでにふくれ上がった。そして決定からじつに半世紀近く、移住をすませた人も多いのに、7年前、ついに計画は白紙になった。

 あらためて言うまでもなく、こんな小さな日本列島だが、河川の総延長は月までの距離の3分の2、じつに25万キロメートルだ。そんな川の流れを、巨大ダムやコンクリートで固めた堤防で治めようという方が無理なのだ。

 進化する警報、注意報などの情報をいち早くキャッチして、高所に向かう垂直避難で救助を待つ。今回の不幸な災害は、そんな教訓を残してくれたのではないか。

 ところで、いつも仏頂面の中谷防衛大臣。今回、奮闘してくれた隊員たちが大臣ともどもあのご夫婦たちやワンちゃんと対面、その姿を国民の前に披露する。ときには隊員のご苦労に、こんなねぎらい方があってもいいんではないでしょうか。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2015年9月15日掲載)



茨城・鬼怒川で堤防決壊の関連ニュース一覧(Yahoo!ニュース)
 http://news.yahoo.co.jp/theme/0b804da0f48718562045/
川辺川ダム(Wikipedia)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/川辺川ダム
災害派遣の仕組み(陸上自衛隊)
 http://www.mod.go.jp/gsdf/about/dro/


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