女性誌に寄せられる声を聞いてみるがいい
— 菅官房長官殿へ —
私たちジャーナリストの仕事のひとつに、さまざまなテーマについての新聞、雑誌、テレビへのコメントがある。先週だと山口組の分裂については、まあ、私の守備範囲。だけど、「五輪エンブレムの盗用について」とくると「なんで私なの?」と思ってしまうことも。
そんな私たちの仕事の風景に最近、ちょっと異変が起きている。女性誌、それも女性週刊誌からのコメントの依頼が多くなっているのだ。さて、ここで、なんでジャーナリストが美容やおしゃれについて?? と思っている方がいたら、それは女性に失礼というもの。
たとえば、これも先週、「週刊女性」のデスクが「12万人が集まった国会前デモに対する菅官房長官の発言についてコメントを」と電話をしてきた。安保法制について週刊女性がコメントを依頼してきたのは、1度や2度ではない。もとはといえば、「女性自身」が口火を切ったのだが、週刊女性の安保法制についての特集はスゴイ。例をあげると、7月半ばの号は「暴走国“壊”にNO! 脅しとダマシの『戦争法案』とニッポンの行方─あなたの子どもがアメリカのために殺し、殺される国になる」と、日刊ゲンダイも真っ青な見出し。
こんな女性誌の変わりように、テレビ朝日の「報道ステーション」や大阪・MBSテレビの長寿番組、「ちちんぷいぷい」が「ドキュメント週刊女性編集部」の密着特集を組むまでになっている。
さて、その週刊女性がコメントを依頼してきた国会前デモに対する菅官房長官の発言は「一部野党やマスコミから戦争法案とか徴兵制復活と宣伝され、大きな誤解が生じている。政府として誤解を解く努力をしっかり行っていきたい」というものだった。
はっきり言って、これこそが偉大なる誤解なのだ。週刊女性をはじめ、女性誌に寄せられている読者の声を聞いてみるがいい。「特集を読んで、これまで知らなかった法案の内容にびっくりしました」「法案を理解すればするほど、恐ろしさに身震いしてきます」…。この声こそが、女性誌に2弾、3弾と特集を組ませる原動力になっているという。
菅官房長官殿。「誤解を解く努力をしっかり行っていかなければならない」のは女性の読者でしょうか。政府のみなさまでしょうか。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2015年9月8日掲載)
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