「オールする」子供いるのがおかしい
— また中学生惨殺事件 —
大阪・寝屋川市の中学生惨殺事件。急転直下、犯人逮捕。そして女子中学生(13)に続いて男子中学生(12)も遺体で発見されるという最悪の結果。あわただしい日々となった。
週末の早朝、大阪・朝日放送に出演したが、当然記者もスタッフも徹夜で目がまっ赤。「ぼくらもオールですわ」という。だけど子どもの世界と縁の遠い私は「オール」の意味がわからなかった。聞けば、中高生がラインで連絡を取り合って一晩中、つまりオールナイトで遊び歩くことをいうのだそうだ。不明にして、まったく知らなかった。
そういえば寝屋川市駅周辺を取材すると、被害に遭った男の子と女の子は商店街でオール、一晩を過ごして、朝方に消息を絶っていた。その前日も駅近くのベンチで夜を明かしている。犯人の山田浩二容疑者(45)は駅周辺にこうした子どもたちがいることを知って、お盆のまん中で一気に通勤客が減る朝、2人に襲いかかった可能性が高い。
じつは中高生どころか、最近では小学高学年の子を持つ親の間でも、いまからどこどこに集合というラインの連絡が悩みの種という。今回の事件もそうだったが、夜の9時10時でも子どもたちは「連絡がきた」「仲間外れにされたくない」と出かけて行って、ときにはオールになるという。
だけど、こんな子どもの世界はどう考えたっておかしい。もちろん、被害者を責める気はない。悲しみに打ちひしがれているご遺族を傷つける気もない。でも、今年2月に川崎市で、やはり13歳の中学生がリンチ殺人に遭ったときも少し書いたが、午前2時や3時という時間に子どもが家にいないこと自体、おかしいのだ。
「昔といまでは子どもの世界も違う」と意見もあろう。ならば、愚直にも事件取材を半世紀も続けてきた私は百万遍でも言わせてもらう。この世の中には、子どもに牙を剥こうと暗闇で目を凝らしているやからが山ほどいる。そんなやからに、アーケードの下、小鳥がさえずり合うようにしていたあどけない男の子と女の子の命を奪われてどうするんだ。
世のお父さん、お母さん方。ことこの件に関しては「オール オア ナッシング」ではない、「オール イズ ナッシング」しかないと思うのですが。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2015年8月25日掲載)
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