「キャラ弁」官僚と おやじデスク
— 「輝く女性応援」こんな感覚じゃ… —
まだこんな感覚なのか、とうんざりしてきた。政府の「輝く女性応援会議」の公式ブログがキャラクターや動物をかわいくデザインした、いわゆるキャラ弁作りで有名な女性を取り上げたところ、「これが女性応援になるのか」といった批判が相次いだと先日、毎日新聞が書いていた。
木曜早朝出演しているメーテレ(名古屋)の「ドデスカ!」(月〜金朝6時〜)でもこの話題を取り上げ、ご一緒しているコラムニストの山田美保子さんが「キャラ弁の話題も、それを作るお母さんを取り上げるのも、ふるーい」とあきれれば、横でママになりたての元ビーチバレー選手の浅尾美和さんもうなずいている。男の私も、ひと言「新聞社のデスクにもそんな感覚の男は山ほどいる」とつけ加えさせてもらった。
たとえば、キャリア官僚の局長や署長、あるいは大企業の社長、「女性初の○○」を紹介する記事。その最後に「とはいえ、どんなに夜が遅くても朝5時に起きて、子どものお弁当作りは1日たりとも欠かしたことがない」というカビが生えた文言が、これまで何度並んだことか。
「おーい、この女性初の局長、仕事の話はこれでいいから、少しは女らしいところも出してやれよ」と、おやじ丸出しのデスクが叫べば、記者も心得たものでインタビュー中に聞きかじった話をつけ足す。「そうそう、こういうところがあってこそ、男はこの女性にホッとするもんだ」なんてひとり悦に入っているデスク。はっきり言って、これまたひとり悦に入ってキャラ弁を取り上げた内閣官房の官僚や新聞社のデスクに記者、この感覚が大手をふっている限り、心からの「輝く女性の応援」なんて出来るわけがない。
「女性初の○○」の記事に、たまには「日ごろは激務のうえに深夜まで上司や大臣と酒のつき合い。休日は夫とふたりの子どもに食事の支度を押しつけ、酒臭い息で昼まで寝ているおやじ丸出しの一面もある」なんて書いてみたらどうだ。
女性が輝く社会とはいかないまでも、安酒に、これまた耳タコもんの大昔の手柄話のおやじデスクに夜な夜なつき合わされている女性記者からは、万雷の拍手が巻き起こること、請け合いだと思うのだが。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2015年5月26日掲載)
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