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「人権擁護」…おためごかしは止めよう
— 豊前市 女児殺害 —

 先週のこのコラムで名古屋大女子学生の「だれでもよかった」という77歳女性殺害事件に関して「もういいかげん、ものごとの本質から目をそらすのはやめようじゃないか。抗議が来たくらいで、あらぬ方向に責任を転嫁するのはやめようじゃないか」と書いた。またぞろ同じこと書かなくてはならないことが残念でならない。
日刊スポーツの実際の記事画像
 1月31日、福岡県豊前市で小学5年、10歳の女児が仲良しの同級生の父親、内間利幸容疑者(46)に殺害され、同級生宅の押し入れで遺体となって見つかった。着衣が乱れ、わいせつ目的の事件だった。

 「知らない人について行ってはいけないとは言えても、友だちのお父さんに気をつけて、とは言えない。いったいどうしたら」といった保護者たちの声が、新聞テレビにあふれた。だけどこれこそ、まさに問題の本質から目をそらしたおためごかしではないのか。

 このコラムを載せてくれている日刊スポーツの報道基準(プレスコード)から大きく逸脱するかもしれないが、私個人の責任で書かせてもらう。内間容疑者は沖縄県の出身。1996年から99年にかけて県内で9歳、11歳、16歳の少女に対する強姦、強姦未遂事件などを起こして、懲役12年の刑で服役、数年前に出所。豊前市で、偽名で被害者の友だちの女児の母親と内縁関係になっていた。

 いま、女児が通う小学校周辺はもちろん、市内中で「そんな男とわかっていたら子どもを近づけなかった」「こんな男が近くにいても、私たちには絶対に知らせてくれないのか」といった声が渦巻いていると聞いた。だけど私たちの国には、性犯罪者の出所情報を地域に知らせるアメリカのミーガン法のようなものはない。韓国のように性犯罪常習者の顔写真をネットで公開する制度もない。

 それどころか、今回の事件でも日本の新聞、テレビは「服役して、すでに罪は償った」という人権擁護のお題目のもと、この男の忌まわしい前科について一言一句ふれていない。もういいかげん、そんなおためごかしはやめようじゃないか。

 異常性犯罪男の人権はしっかり護りました。でも女の子はわずか10歳で非業の死を遂げました─こんなゆがんだ、愚かな社会をいつまで続けていくのだろうか。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2015年2月10日掲載)



福岡・小5女児殺害事件とは【内間利幸】(NAVER まとめ)
 http://matome.naver.jp/odai/2142310862705771001
性犯罪者GPS監視(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/性犯罪者GPS監視
おためごかしとは(Weblio辞書)
 http://www.weblio.jp/content/おためごかし


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