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雪景色 フラッシュアップ


潮目を変えた安倍首相のひと言
— 燃えた愛知選挙区 —

 猛烈な寒波の中の衆院選。結果は予想通りの自公の圧勝。共産を除く野党の体たらくが際立った選挙。投開票日は名古屋の東海テレビで深夜まで選挙特番。番組の合間に大阪の朝日放送にコメントを送るという、いつも通りの流れ。ただ、私にとっては寒さのなか、結構熱い選挙報道になった。
日刊スポーツの実際の記事画像
 リアルタイムで開票状況を伝えた愛知選挙区が燃えた。もともとここは民主王国。小選挙区15を民主が独占、自民をはじめ他党はまったく歯が立たなかった。ところが自民大躍進の2012年の前回選挙では、なんと15選挙区のうち13を自民にかっさらわれて、民主はわずか2議席という大惨敗。

 保守に追い風という今回の選挙でも、この流れは止まらないとみられていたのだが、どっこい、選挙戦半ばから状況は一変。事前の調査で15選挙区中、7選挙区で大激戦。開票速報も、もつれにもつれて深夜のデッドヒート。結果、民主は6議席と3倍増の大躍進。別に民主を応援していたわけではないが、お蔭さまで番組は大盛り上がり。やっている方だって、この方が楽しい、おもしろい。

 それにも増して私が興味を持ったのは、地元の記者が解説してくれた民主に潮目が変わったその理由だ。愛知はトヨタをはじめ、製造業日本一の県。関連会社をはじめ、下請けや町工場、労働者の町なのだ。だが、保守追い風に乗った自民はトヨタ労組の牙城、これまで大物議員でも遠慮していた愛知11区に安倍首相まで投入。そこで安倍さんは、あろうことか「円安でみなさんの会社は潤ったでしょ。株価も給与も上がったでしょ。アベノミクスは大成功なんです」とやらかした。

 これに労働者たちがカチンときた。何が円安だ、何が株価だ、日本の産業は俺たちが額に汗して支えてきたんだ。安倍さんは喧嘩を売りに来たのか。ならば、政権にいる間は、たいがいがっかりさせられた民主だが、組織を引き締めて応援してやろうじゃないか。撃ち方始め。潮目は、ここでくっきり変わったというのだ。

 野党が共闘とは名ばかりの野合に走って、結果ドツボにはまった今回の選挙。政党とは誰の声をどう反映させるのか。その原点が改めてわかったとしたら、それなりに意義があった選挙と言えるんじゃないかな。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2014年12月16日掲載)



第47回衆議院議員総選挙(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/第47回衆議院議員総選挙
衆議院選挙2014(NAVER まとめ)
 http://matome.naver.jp/topic/1MZ5z
アベノミクスとは(ニコニコ大百科)
 http://dic.nicovideo.jp/a/アベノミクス


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