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若者 フラッシュアップ


居場所ない若者取り込むカルト
— 上祐氏に5回目インタビュー —

 先月30日のオウム真理教元信者、菊地直子被告(42)の判決を前に、上祐史浩氏(51)をテレビ朝日の取材でインタビューしてきた。上祐氏はオウムの元最高幹部。その後、「尊師・麻原彰晃を否定する」としてオウムの流れを継ぐ「アレフ」と決別、「ひかりの輪」を立ち上げたとされる。
日刊スポーツの実際の記事画像
 松本サリン事件から今年で20年、地下鉄サリン事件も来年で20年になる。テレビ局も新聞社も、30代を超えた記者でないと事件の記憶は曖昧。饒舌だった上祐氏につけられた「ああ言えば上祐」の当時のあだ名も知らない。高校、大学の後輩でもある上祐氏は、なぜか私のインタビューには快く応じ、今度で5回目。と言って、上祐氏のいまの活動を肯定するわけではない。聞きたいことはただ1つ。なぜ、社会を震撼させたオウムの流れを汲むアレフなどカルト的な集団に惹かれる若者が、いまもあれほど多いのかということである。

 「世間はアベノミクスに躍っても、この社会に居場所がない。自尊心が干からびてしまった20代、30代こそ、カルトの最大のターゲットです」と上祐氏は断言する。

 例えば、就活で20社受けても内定がもらえない若者には「いまの社会は汚れた俗社会。その社会に受け入れられないキミこそが、まれに見る清廉な若者」。30代、異性との交際が苦手で婚期を逃したと思い込んでいる女性には「あなたは何万人にひとり、マリアさまのような純潔な女性」と、干からびた自尊心に誤った生気を取り戻させる。

 「かつてのオウムには医師、弁護士、学者といったエリートもいた。だが、いまカルトに駆け込む若者は、もう社会のどこにも居場所がない、ここだけが自分を認めてくれると思い込む。それだけに抜け出すことは困難なのです」

 元オウム幹部の「ああ言えば上祐」氏、あんたにだけは言われたくはないという思いもある。だが、どんな世であれ、将来の不安と悲観に身を震わせている小羊のような若者がいる。社会がいつもそのことを認識しておく。それがあのオウムのような、若者を取り込んで社会と敵対させるカルト集団を再びはびこらせないための、私たちの最大の防御だという気がする。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2014年7月8日掲載)




ひかりの輪(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ひかりの輪
自尊心チェック(Test.jp)
 http://test.jp/guestSurvey/intro/id/free_pride
「自尊心」養成講座(日経ウーマンオンライン)
 hhttp://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20130122/144341/



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