「橋下さん駄々っ子説」をもう1度
— 大阪市長選の民意とは —
選挙期間中になってしまうとなかなか思い切ったことが書けないので、いまのうちに書いておく。大阪都構想が頓挫したとして橋下徹大阪市長が「民意を問う。僕のやり方に反対なら、首を取りに来たらいい」として打って出た出直し市長選が9日告示される。さまざまな批判もあるようだが、私は一貫して6億円も使ってこんな無駄な選挙はない、橋下さんはまるで駄々っ子だと言い続けてきた。
私が無駄という通り、こんな選挙にはつき合いきれないと自民、公明、民主どころか、選挙は戦うことを原則としている共産までもが候補を立てなかったのは、じつに賢明な選択だったと言える。とはいえ、大阪ほどの都市になると、どうしたって名前も顔も知らない人が次々に出てきて、いまのところ候補者は10人を超えるといわれている。だけど、失礼ながらこんな人を相手に、橋下さんに「僕は選挙に勝った。これが民意だ」と言われてはかなわない。
私は橋下さんの一番ずるいところは、維新が過半数に滿たず、自分の意のままにならない市議会のリコールのリの字も言わないことだと思っている。同じように批判を浴びながら、河村たかし名古屋市長が出直し市長選に打って出たときには、市民が「50万もの人から支持を得た市長に反対する市議会は解散させてやる」と議会のリコールに持ち込んだではないか。
猛烈な暑さが残る2011年9月、汗をかきながら、リコール派の人たちは1人ひとりの署名をもらって歩き、結果、ついにダブル選挙になったことは覚えておられる方も少なくないはずだ。
ならば橋下さんはどうだ。大阪都構想を一丁目一番地として当選した橋下さんの公約を実現させない議会なんて解散させてやると、リコール運動を展開、ダブル選挙に持ち込んでやろうとする市民は誰1人としていないではないか。この人のために一肌脱ごうという市民は、皆無なのだ。
もっとひどいのは、維新の市議会議員だ。「うちの大将に逆らい続ける議会なんて解散だあ」と、リコールに走る議員も、これまた皆無。なんとなれば、これらの議員は維新人気で当選してきたが、いまでは維新の支持率は地の底。ダブル選挙なんてやろうものなら、落選の憂き目に遭うことを重々承知しているからだ。大将の公約よりも、みんなわが身がかわいいのだ。
それでも、橋下さんは「僕が当選してきても議会が言うことをきかないなら、何度でも市長選をやる」と叫んでいるとか。これを駄々っ子の選挙と言ってはばからない私は、どこかおかしいのでしょうか。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2014年3月4日掲載)
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