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大阪 フラッシュアップ


また「大阪」が消えてしまった
— たかじんさん 早すぎるよ —

 「大谷さんがぼくの番組には出ないっていうのは、やっぱり都市伝説やったんやね」「そりゃそうですよ。ぼくは自分の出る番組は選びますけど、たかじんさんの番組には、いつか出たいと思っていました」「ほうか、よろしくね」。
日刊スポーツの実際の記事画像
 3年前、「たかじんNOマネー」(テレビ大阪)に初めて出演した日のスタジオ。ちょっとホッとしたような、あのときの笑顔が忘れられない。

 東京のホテルにいた私に夜遅く、やしきたかじんさんが亡くなったとテレビ局が知らせてくれた。それから日付が変わるころまで新聞、テレビの取材が続いたせいか、ベッドに入っても何度となく目が覚めた。こちらがヒヤリとする番組での発言。昨年2月、病から復帰された日、みんなで赤ワインのグラスを持って記念撮影したこと…。ご一緒した出演者の死でこれほど寢つけなかったことはない。

 「たかじんnoばぁ〜」で共演した私の恩師、黒田清さん、黒田のおっちゃんが生前、「あれはいい男やでぇ」と言っていたことも合わせて思い出した。

 2人とも「東京嫌い」で通っていたが、東京が日本の長男なら、大阪は次男坊。長男は家督のことやら親類付き合い、あちこちに気を使わなければならないが、その点、2人はそろってやんちゃな次男坊。東京が嫌いなわけではない。番組を東京に持って行って、あれこれ気を使って言いたいことも言えなくなるなら、大阪に置いておきたい。そんな思いだったのではないか。

 「大阪で読売新聞を作るんやない。大阪の読売を作るんや」が口癖だった黒田さん。たかじんさんもまた、「大阪で番組を作るんやない。大阪の番組を作るんや」。そんな思いだったのではないか。そのことが二人の心を響き合わせたのではないだろうか。

 番組では新地のお姉さんの話も出てくれば、豪勢なハワイ旅行の話も出てきた。だが、言いたいことも言えないで、どこがおもろいねん、というスタンスだけは決して崩さずに持ち続けていた。 

 なんだか、みんなが縮こまって、言いたいことも言えなくなってしまった近ごろの私たちの社会。あの世でいまごろ、たかじんさんと黒田のおっちゃんは、おっちゃんが大好きな歌のフレーズ、♪身構えながら話すなんて、ああ、臆病なんだよね…とか、♪やっぱ好きやねん…なんて歌いながら、酒を酌み交わしていることだろうか。

 それにしても、たかじんさん64歳、黒田さん69歳。あまりに早い死だ。また1つ、「大阪」が消えてしまった。涙が、あふれて止まらない。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2014年1月14日掲載)



やしきたかじん(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/やしきたかじん
たかじんNOマネー(テレビ大阪)
 http://www.tv-osaka.co.jp/ip4/takajin/
やしきたかじん(YouTube)
 http://www.youtube.com/results?search_query=やしきたかじん



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