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いま私たちがなすべき「決意」とは

 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしく。さて、今年は曜日まわりがよかったこともあって古都・京都のお正月をいつもの年以上に味わってきた。社寺に、この1年の安寧と平和を願う人々。その思いがかなう年であってほしいと、ともに手を合わせるのもいつものこと。
日刊スポーツの実際の記事画像
 とはいえ、仕事がら元日の新聞紙面は気になるところ。分厚い特別版から各紙の1面を見ると、ざわざわとあわ立ってくるような思いがしたのだった。読売は「中国軍有事即応型に 海洋強国化 日米に対抗」。毎日は「防空圏 日本に3年前提示 中国非公式会合で」。産経はトップではないが、中国の軍事力拡大を取り上げ、「国守り抜く決意と能力を」。朝日を除く一般紙はこぞって、いつ中国との間に火花が散ってもおかしくないような紙面作り。中国は「有事即応」、われわれは「国守り抜く決意を」なんて言われると、まるで開戦前夜。おとそ気分も飛んでしまう。

 だけど、いま私たちがなすべき「決意」はそういうものなのか。厳寒の満州(中国東北部)を訪ね、敗戦時、日本人が置いていった残留孤児を育ててくれた養父母を何度も取材した私は、どうしても違和感を覚える。だが、スポーツ大好きの私に、同じ元旦の紙面、朝日のサッカー元日本代表監督、岡田武史さんのインタビューが目にとまった。

 岡田さんは昨年まで中国のサッカーチーム、「杭州緑城」の監督を努め、日本代表の元監督が中国を指導するのか、という批判にもさらされた。

 「ぼくはどんな問題があっても、自分の子どもを戦場に送りたくない。中国の親だって同じだよ。答えは簡単だ。話し合うしかない」

 だけど岡田さんは、いまの日本には、そんなことを言えない空気がある、とても危うい、と指摘する。その岡田さんも日本代表の監督として日の丸を背負って戦った。

「でもね、相手もすべてをかけて戦っている。ナショナリズムは自分たちだけのものではない。どちらも国を愛する気持ちを持って戦っていることを理解しないとね」

 その中国は日本のサッカーに対する「憧れ、尊敬の気持ちを持っている」とも言う。

 「日本人も漠然とした中国を好きか嫌いかよりもリアルな中国を知って、好きなものや人がいれば、考え方に幅ができると思うよ」 

 いま私たちがなすべきことは、“火花”への備えではない。互いの理解を深め合おうと決意することではないのか。京都の古刹の庭園。時折差してくる弱い冬日のもとで、そんなことを考えていた。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2014年1月7日掲載)



サーチナ(Searchina)
 http://searchina.ne.jp/
中国ニュース(ライブドアニュース)
 http://news.livedoor.com/article/category/42/
ワールドニュース 中国(ロイター)
 http://jp.reuters.com/news/globalcoverage/china/



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