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海 フラッシュアップ


防潮堤本当に建設すべきは…
— 東北3県に総工費8000億円 —

 1週間ほど前、またお訪ねした被災地、南三陸や気仙沼は、みぞれが横殴りに降っていた。だが、これまでの取材でいつも家族のように迎えてくれる漁師さんご一家は、私たちを仮設住宅の温かいコタツと、この日が解禁日のアワビでもてなしてくれた。
日刊スポーツの実際の記事画像
 じつは今回の訪問、私は取材とは別にぜひ聞いてみたい、でも、うっかりそんなことを口にしたら、この方たちが気を悪くされるのではないか。そんな思いが胸の中にあった。 この南三陸の海に限らず、被災地の海岸は、ほとんどのところに「ここに×.×メートルの防潮堤が建設されます」といった横断幕が張られている。岩手、宮城、福島の3県を中心に長さ370km、総工費8000億円。実に東京から名古屋までの距離の海岸を防潮堤のコンクリートで覆ってしまおうというのだ。さすがに政府は、ここに来て一部見直しと予定を変更してきたが、それでも各県は「予算がついたものは実行する」という姿勢を崩していない。

 そんなとき、私がいつも番組でご一緒している気象と防災が専門の元政府高官が「こんなことは放送では言えないけど、防潮堤を造るところを間違えてはいないか」と率直な思いを語ってくれたのだ。

 つまりこういうことだ。8000億円のお金をかけて防潮堤を造るなら、それは、いまは東海や東南海、3連動地震が予想される地域ではないのか。1000年に1度と言われる今回の東日本大震災が数年、数十年後にまたやってくるとは考えにくい。その一方で東海、東南海地震は、ここ30年以内の発生が予想される。加えてこの地には人口も、工業を中心とした日本の基幹産業も集中している。だったら、まずこの地域に防潮堤を建設すべきではないのか―。

 この元高官は「ここだけの話。胸にとめておくだけにして」と言っておられたが、私は、どうしてもそのことが頭から離れない。

 仮設住宅のコタツ。少し酔った頭で漁師さん一家にその思いぶつけてみた。

「はっきり言って、この三陸の海と工業地帯の海は違う。こんな景色のいい海辺を高い塀で覆ってほしくないっぺ」「被災地の俺っちが言うのもなんだが、はっきり言って、防潮堤が建つところに、いまは人はおらんちゃ。そんなお金があるなら、まんず何千万、何百万の人がおるところが先でねえべか」

 決して私の思いに話を合わせたわけではない。それにいまこのことを口にすれば、暴論とそしられるかもしれない。だが、「命を守る」ということには、さまざまな思いがあることを知ってほしいのだ。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2013年12月17日掲載)



マンモス防潮堤が攻めてきた!(もうひとつの日本円卓会議)
 http://giant-seawall.org/
 8分でわかるマンモス防潮堤まるわかり動画/被災地における防潮堤の課題 - YouTube
 http://www.youtube.com/watch?v=uiYL4eItkIc
Think Seawall 防潮堤を考える(Facebook)
 https://www.facebook.com/ThinkSeawall
いのちを守る森の防潮堤(いのちを守る森の防潮堤推進東北協議会)
 http://morinobouchoutei.com/



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