とことん本音…やるなあアサ芸
— 「はだしのゲン」問題 —
このことは、先週、書いておきたいと思っていたのだが、何しろ2020年東京五輪決定という大祝砲。私も拍手拍手。そこで東京五輪について書いた。で、いささか時期を失してしまったが、やはりこのとき書く予定だった件を今回、書くことにする。
週刊誌の「アサヒ芸能」(以下アサ芸)からコメントの依頼が来た。聞けば今夏、松江市教委の閲覧制限が問題になった、原爆をテーマにした漫画「はだしのゲン」についてだと言う。失礼ながら、あの過激なグラビアとヤクザ路線のアサ芸が「はだしのゲン」で、と?マークをいくつもつけていると、「日刊スポーツの大谷さんのコラムも読ませていただいて、ぜひともコメントを」と、うれしいことを言う。それに担当者は「閲覧制限賛成派、反対派、お行儀よく並べてこと足れり、なんてことはしたくない。とことん本音をぶつけ合う特集にしたいんです」と熱い。つられて私も結構、熱くコメントした。
届いた9月12日号(5日発売)のアサ芸を見て、失礼ながら、またまたびっくり。ああ、堂々の8ページぶち抜き。はだしのゲンが閲覧制限に至った経緯から「全10巻超早送り解説」、それに「韓国・中国・欧米…世界はこう読んでいる!」。
はっきり言って、今夏この問題を取り上げたメディアのなかで一番、読み応えがあった。記事のリードはこうだ。
<本誌は「それでいいのか?」と声を大にして訴えたい。テレビも新聞も「表現の自由」を巡る抽象論争に逃げ込み、閲覧制限させた教育委員会は、何が問題だったかを具体的に語らぬまま制限解除で幕引きを急いだ。本当は、「はだしのゲン」はどんな漫画だったか。そもそも、全巻読破した人がどれだけいるのか。あまりに真実が伝わらない国民的長編漫画の「全貌」を徹底解剖した!>
やるなあ、アサ芸、やってくれるなあ、担当記者。この特集の内容もさることながら、過激エッチ路線だ、ヤクザだ、ギャンブルだと言われながらも、こういう雑誌でも、こんな特集ができる。いや、こういう雑誌だからこそ、思い切った特集ができるという記者のほとばしる思いがうれしい。
賛成反対、両論を併記して「本日の仕事は終わり」としている大手紙の記者は、一度この特集を読んでみるといい。とはいえ、過激グラビアに続いてM字開脚に、中折れ、手コキ、ハメ撮り…。とてもとても、子どもには、という向きも多いだろう。でもね、この8ページはコピーしてでも、大人も子どもも読む価値は十分にあると思うのだ。私、何もアサ芸を学校図書館に置けとまでは、言ってませんがな。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2013年9月17日掲載)
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