違憲議員から憲法ダメ出し なめんなよ!!
— 「1票の格差」無効判決 —
春4月、新入学に新入社の季節。私にもうれしいことがあった。日刊スポーツ大阪版に、実に12年間、コラムを書き続けてきたが、きょう4月2日から東京版をはじめ、北海道から九州までこの「フラッシュアップ」が掲載されることになったのだ。どうぞご愛読のほどを。
さて、大阪版読者以外のみなさんに対しては新顔。しばらくはおとなしくしているのが世の常なのだが、いきなり「なめんなよ」と怒鳴り始めてしまうのが、このコラムの特性でもあるんですね。
衆院選の一票の格差をめぐって、14の高裁・支部で違憲状態、違憲。2つの高裁・支部で無効の判決が出た翌3月28日、衆院選挙区画定審議会(区割り審)が17都県42選挙区の線引きを変更、最大格差を1.998倍とする見直し案を安倍内閣に勧告した。このニュースを報じた新聞各紙は「取り繕い、応急措置」などと批判しながらも「苦悩の末、なんとか格差を2倍以下に収めた」と評価している。
なんとまあ、おめでたいというか、能天気というか。ならば各地の高裁判決のうち、選挙無効とした選挙区の格差はどうだったのか。メディアのいけないところは、目を皿のようにしないとその数字が出て来ない。やっと見つけた数字は、無効に11月26日までの猶予をつけた広島1区の格差は1.54倍、2区が1.92倍。待ったなし、即選挙無効の判決が出た岡山2区は1.41倍だったのだ。
前回選挙の最大格差は、千葉4区の2.43倍。岡山2区の1.41倍はそれをはるかに下回るのに、高裁岡山支部は「この格差でも、選挙の平等性を著しく欠く。選挙を即刻やり直せ」と命じたのだ。そんなときに、「色々考えた末、1.99倍でどうでしょうか」と持って行く愚か者がどこにいるか。
たしかに区割り審は判決前から見直しを進め、たまたまこの日に勧告案ができたという言い分もあるだろう。だが、たとえて言うなら、141円でも「高い。出直して来い」と言われたものが、「199円でどうだ」と言ってきたようなもの。まあ裁判所はこんな下品な言い方はしないだろうが、「コラッ、なめるなよ」と言いたいところではないか。メディアもそこをしっかり報じなくてどうするんだ。
何より腹が立つのは、こんな違憲状態、違憲、選挙無効の制度の中で当選してきた違憲議員が恥じらいもなく、現行憲法の廃棄だ、改正だ、と騒ぎ立てていることだ。憲法に口があったら、「お前らだけには言われたくない。なめるんじゃない」と、派手に尻をまくりたい心境に違いない。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2013年4月2日掲載)
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