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早春 フラッシュアップ


急ぐべき事と時間をかけるべき事
— 被災地に3度目の春 —

 きのう11日、東日本大震災から2年を迎えた。私はテレビ朝日の特別番組で、午後1時55分から5時間にわたって福島県南相馬市小高地区から生放送した。ここは現在、避難解除準備区域。一時帰宅しか許されず、地域に人影はない。避難解除されたとしても田畑は荒廃、果たして将来、本当にここに人が住めるようになるのかどうか、早く結論を出すべきだという思いがひしひしとわいてきた。
日刊スポーツの実際の記事画像
 ここ1カ月、週末ごとに被災地に入る日が続いた。そこで感じたことは、「いましっかりと議論して、一刻も早く答えを出すべきこと」と、「慌てずに、じっくり議論したらいいこと」。この二つが被災地にあるのではないかということだった。原発被災地の居住の問題もその一つだ。

 また、かれこれ7回目の訪問となった宮城県南三陸町歌津の伊里前の浜では高さ8.7メートル防潮堤建設の計画が進んでいた。そこで漁をし、カキやワカメの養殖をしている漁業者からは「そんな塀のようなものを建ててしまったら、浜も海も死んでしまう」という悲痛な叫びが上がっている。その一方で商業者からは、防災をしっかりした上で、一日も早くお客さんに戻ってきてほしいという声も出ている。

 高さ8.7メートルを示す標識がすでに立てられている浜に行ってみた。ざっと3階建てのビルの高さ。海も浜も消えて、視界に入るのは灰色の塀だけになるはずだ。だが、県は予算がついた以上、2年後、2015年の完成を目指すという。出来てしまってからでは遅い。いま急いでしっかり議論すべきことではないのか。

 同じ南三陸志津川の海にほど近い更地には、42人の犠牲を出した防災庁舎が無惨な鉄骨をさらしている。いま町民の間では「つらい思い出の建物、一刻も早い撤去を」という意見と「津波の恐ろしさを伝える遺産として残したい」という二つの声がある。

 この庁舎に踏みとどまって犠牲になり、今年1月に遺体が発見された三浦亜梨沙さん(当時24)のお姉さんと庁舎前でお会いした。「妹が町の職員として最後までがんばった場所。11日には、庁舎に花を手向けたい」と言う。だが、お母さんは「見るのが辛い。早く解体を」と願っている。お姉さんは「遺族の中でも考えが違うのです。だけど、壊してしまったら元には戻せません。みんなでゆっくり話し合ったらいいことではないでしょうか」と話す。

 意見を出し合って、一日でも早く答えを出さなければならないこと。時間をかけてじっくり話し合うべきこと。重い命題を抱えながら、被災地は三度目の春を迎える。

(日刊スポーツ・西日本エリア版「フラッシュアップ」2013年3月12日掲載)



被災地復興への取り組み(Yahoo!ニュース)
 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/0311eq_reconstruction/
復興支援東日本大震災- Yahoo! JAPAN
 http://shinsai.yahoo.co.jp/
今月の特集(2013年3月) - 東日本大震災 -
(国立国会図書館インターネット資料収集保存事業)
 http://warp.da.ndl.go.jp/contents/special/special201303.html



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