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人間の尊厳とは 問われる教育のあり方
— 卑劣な性犯罪—

 事件事故の取材を生業としている私だが、先週は改めて事件や事故について様々なことを考えさせられた。21日には、奈良で04年、小学1年生だった有山楓さん(当時7歳)を性的な目的で誘拐して殺害した小林薫死刑囚(44)ら3人の死刑が執行された。
日刊スポーツの実際の記事画像
 これまで多くの凶悪事件を取材してきたが、奈良の事件では、まれに見る酷たらしさと犯人の悪辣さに体が震えてきたことが、いまも記憶に残っている。そんななか、楓さんという名前に、ご両親がこの少女に込められた思いが伝わってくるような気がした。だが、いたいけな少女が欲望を剥き出しにした男の毒牙にかかったら抵抗のしようもない。そのことが私の怒りを一層かき立てた。

 その一方で小林死刑囚とは、私の事務所の同僚、吉富有治記者が拘置所で何回も面会。それに37通にも上る手紙も届いていたので、私も折りに触れてこの死刑囚の近況を聞かせてもらった。それだけに、これまで取材した事件の死刑確定囚の刑が執行されたときとは、また違った思いで一つの命が消えた知らせを聞いた。

 この奈良の事件で、執行を知った楓さんのお父さんが報道関係に「二度と尊い命が失われることがない社会になることを心から願います」という談話を寄せている。

 その談話を掲載した22日の朝刊は、女子高生の太ももを盗撮したとして逮捕された大阪府警河内長野署の22歳の巡査が「たばこ持っていないか」などと言って職務質問。持ち物検査をするふりして、太ももを盗撮していたことが明らかになったと報じていた。巡査は逮捕容疑の事件のほかに、他の少女の太ももを盗撮した写真460枚を携帯電話に残していた。制服制帽で拳銃も携行している警察官に「職務質問だ」と言われたら、女子高生は抵抗のしようがない。卑劣というほかない。

 殺人事件にまでは至らなくても、こうした盗撮、痴漢、強制猥褻、強姦。女性に対する犯罪が報道されていない日はないと言っていい。それも警察官、教師、公務員。本来、性的弱者を守るべき立場の人の事件があとを絶たない。ではどうしたらいいのか。私は、ここでも教育のありようが問われていると思う。

 男女の肉体的性差や性知識を教えるだけの性教育ではなく、両性の織りなす社会、そのなかで互いの性を尊重しあう。人間の尊厳を大事にしあう。そうしたことを幼いころから、しっかりと教え込んでいく。当たり前すぎることだが、その当たり前のことをしない限り、「二度と尊い命が失われることがない社会」が訪れることはないと思うのだ。

(日刊スポーツ・西日本エリア版「フラッシュアップ」2013年2月26日掲載)



奈良小1女児殺害事件(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/奈良小1女児殺害事件
性犯罪(Yahoo!ニュース)
 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/sex_offense/
性犯罪(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/性犯罪



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