国が腐る…まやかしはもうやめて
— 教育委員会と公安委員会 —
静かな年明けだと思っていたら、いきなり大きなニュースが飛び込んできた。この二つのニュース、いずれも昨年からの尾を引きずっているのが特徴だ。
大阪市立桜宮高校のバスケットボール部員(17)が昨年末に自殺したのは、部の顧問教師による体罰が原因だった。もう一つは、富山県で2010年4月、会社役員の老夫婦が殺害され、自宅に放火された事件の犯人として逮捕された県警警部補(54)が、実は犯行の2カ月後、週刊文春の編集部宛てに自分が犯人だとするCD-Rを送りつけていたことがわかった。
この二つの事件、一見何の関係もなさそうに見えるが、私には大いに関係があると映るのだ。思い起こしてほしい。去年、不祥事が続出、大変な問題になったのは、教育界と警察組織だったではないか。教育で言えば、大津市で中学生のいじめ自殺が発覚、市教委と学校の隠蔽体質が暴かれた。その後も、いじめ事件は全国で相次いだ。警察を見ると、収賄事件に強姦、飲酒運転、痴漢、窃盗、情報漏洩。警察官の犯罪は過去最悪となった。
富山の事件は強盗殺人・放火犯が事件後、3年近く拳銃を持った警察官を続けていたというのだから、こんな危ない話は聞いたことがない。しかも県警は、事件の2カ月後に文春に犯行声明が届いていることを知りながら、2年以上、そのままにしていたというのだから、呆れ返る。
では、この二つの組織に共通するものは何か。教育委員会に公安委員会。お飾り、おためごかし、役立たずの形骸化した管理監督機関を上に置いていることなのだ。大津のいじめ事件では、教員出身の教育長以外の民間からの委員は、事件の概要さえ知らされていなかった。桜宮高校を管理監督する大阪市教委の委員には、なぜか東京の大学の教授らが入っているが、事件後、学校が体罰の有無について生徒に実施したアンケートがあることさえ知らなかった。
富山県の3人の公安委員は電力会社や民間企業の会長や相談役と医療法人の理事長。失礼ながら、こんなズブの素人が警察組織をチェックできるはずがないし、これまで他の都道府県を含めて、公安委が警察を厳しく指導したなんて聞いたことがない。
同じような管理監督機関を置いておくから、この二つの組織は同じように腐っていくのだ。教育界や警察組織だけではない。思えば国の原子力安全委員会だってそうだった。こんな、まやかしの組織はもうやめようじゃないか。そうしないことには、この国そのものが際限なく腐っていくように思えてならないのだ。
(日刊スポーツ・西日本エリア版「フラッシュアップ」2013年1月15日掲載)
|