日本には素晴らしい仲間が大勢いる
— 今年を振り返って —
今年も残すところあと6日。そしてきょうはクリスマス。このコラムも年内最後である。自民党の大勝、民主党のボロ負け。威勢がよかったわりには、早くも退潮気味の日本維新の会。そんな政界地図で暮れてゆく2012年。
オウム事件の指名手配犯の出頭で明け、その後は大津をはじめとするいじめ事件。尖閣や竹島の領土問題。不安の消えない原発再稼働。長引く不況の中で起きた生活保護の受給問題。主犯の女が自殺という、とんでもない展開となった尼崎連続不審死事件。毎週コラムを書かせていただきながら、暗いニュースの多いことにがくぜんとする日々だが、せめて年の終わりは明るく楽しく締めくくりたい。
日本人が素晴らしいメダルを取った年だったのではないか。1つは山中伸弥教授のノーベル賞受賞だ。何よりあのお人柄に敬服した。共同受賞者のイギリスのガードン博士をたたえ、研究の右腕だった高橋和利京大講師への感謝。決して一人の力でここまできたのではないことを、度々口にされていた。
もうひとつ、心を動かされたのは、オリンピックのメダルラッシュだ。金メダルが少なかったなんて贅沢は言うまい。ステキだったのは、個人よりも団体競技で底力を発揮したことだ。体操や女子サッカー、バレーボールはもちろんのこと、これまで日本人があまり得意としなかったアーチェリーやバドミントン、フェンシングなどで選手が力を合わせてメダルを獲得した。
なかでも今年の流行語大賞ベスト10に入った「手ぶらで帰らせるわけにはいかない」は銀メダルを獲得した水泳の400メートル・メドレーで、それまでメダルに縁のなかったベテラン、北島康介選手のためにみんなが誓った言葉だった。
少子高齢化で、さしもの経済大国もたそがれ時に入ったと言われる日本。だが、一人の力は小さくても、みんなで力を合わせれば、まだまだ素晴らしいことを成し遂げられる。ノーベル賞に、オリンピック、それらのメダルは私たちにそのことを教えてくれたのではないだろうか。
反対に、このたびの選挙では、威勢がよかったのは下馬評の段階まで。自らの力を過信して人を見下してふんぞり返ったり、相手の弱点をほじくり出しては夜昼かまわず、ここぞとばかりに口汚くののしる。そうした人々に、多くの人々がノーを突きつけた。
自分1人の力なんてちっぽけだけど、私たちのまわりには、まだまだ大勢の素晴らしい仲間がいる。そのことを信じておごることなく、来る年も歩んで行きたい。みなさま、どうぞ、よいお年を。
(日刊スポーツ・西日本エリア版「フラッシュアップ」2012年12月25日掲載)
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