少しでもいい方向へ…そんな政権誕生を願う
— 衆院選16日投開票 —
それでなくても慌ただしい師走に選挙が重なった、この12月。その選挙も、5日後の16日には結果が出る。そんな気忙しさのなか、先週の金曜日7日には東北地方を中心に震度5弱の地震。一層、心がざわついてきた。
地震発生時、私は名古屋の東海テレビの6階スタジオで生放送中だった。あとで聞いた震度2という観測が信じられないくらいの大きな揺れ。一時は、アナウンサーもコメンテーターの私もヘルメットをかぶって放送を続けた。宮城、岩手には津波警報が出され、2万5000人が高台などに避難した。刻々と各地の震度や交通機関の乱れなどを放送しながら、やはり、私の心は東日本大震災の被災地の方たちに飛んでいた。
宮城県南三陸の漁師の方、女川の魚市場のみなさん、気仙沼の復興商店街の方たち。そして何より、原発事故で町の一部がいまも警戒区域となっている福島の浪江町や川俣町の町民の方々。雪が舞い始めたとニュースが伝えるなか、取材でお世話になったこの方たちは、仮設住宅や仮設店舗でどんな夜をすごされているのだろうか。
やがてニュースは東京電力からの情報として、地震によって福島第1、第2原発に、いまのところ被害はないと伝えた。だが、画面に映し出された事故後の原発は真っ暗闇の中。果たして本当に目視だけで異常なしと言えるのか、不安がよぎる。
原発と安全保障が大きな争点となっているこの総選挙。世界中で1年間に発生する地震の20%、5件に1件は日本で起きている。火山活動は地球上の7%。それに台風、竜巻。こんな災害列島で私たちは、やはり原発を稼働させ続けなければならないのだろうか。もちろん、いますぐにとはなかなか行くまい。だけど、歩みの遅い速いはあっても、着実にそっちに進むことはできないものだろうか。
北朝鮮のミサイルと発射予告。それに尖閣問題の中国、竹島の韓国。軍隊の保持どころか、核保有の声まで飛び出したこの選挙。声高に急旋回する叫びが聞こえてきた。だが、原発も軍隊もないに越したことはない。原発も軍隊も持たずに世界第3位の経済力を維持している国。そういう国の方が、世界中の国々の尊敬と羨望を集めるのではないか。「できることなら、あなた方の国もそうしてみたらどうですか」。そんなことを言える国でありたい。
もちろん一足飛びには行かない。だけど、この国は少しずつでも、いい方向に向かっている。そう思える政権が誕生してほしい。あと5日、熟考に熟考を重ねる日々が続く。
(日刊スポーツ・西日本エリア版「フラッシュアップ」2012年12月11日掲載)
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