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異国の空 フラッシュアップ


後世の人々の知恵に任せるのもありだ
— 騒がしい領土問題 —

 21日の民衆党代表選、26日の自民党の総裁選を控えて両党とも騒がしい。そうした国政の内々のことを横目に外海が波立っている。
日刊スポーツの実際の記事画像
 竹島の領有を巡って、韓国では「独島(竹島)は韓国のもの」と認めた日本人だけ入店させる店まであらわれたという。先日、日本政府が国有化した尖閣諸島について、中国は無人島の尖閣周辺の天気予報をテレビで報道し始めた。この程度は子どもじみた意地っ張りと笑っていられるが、日本の領海に6隻もの監視船を強引に侵入させたり、各地で日本企業やデパートが襲撃されていると聞くと、やはり怒りが沸いてくる。

 だけど私は「決められない政治を打ち破る」と意気盛んな代表選、総裁選の候補者たちとは裏腹に、この領土問題に関しては「いま決められないなら、後世の人たちの知恵に任せたらいい」とのんびり構えている。

 先週、新党を立ち上げた橋下さんは演説の冒頭、われわれメディアに「新聞、テレビ、コメンテーターはバカばっかり。30年、40年(先)の日本なんか語る資格なし」と叫んでいたが、いつかの橋下さんの言葉を借りれば、「おー結構毛だらけ、ネコ灰だらけ」といったところだ。少なくとも私は30年、40年先の日本を語れるほどお利口さんではない。そのとき、そのときの人々の知恵に任せたらいい。

 そう思っていたら、先日、日経新聞の1面コラム、『春秋』が楽しいことを書いていた。北極海に竹島より少し大きいハンス島という小島がある。1970年代からカナダとデンマークが互いに領有を主張、入れ替わりに軍を駐留させて両国とも一歩も譲らない。だが、そこにいつのころからか受け継がれている習わしがあるという。上陸した部隊は島を去るとき、自国の国産ビールを置き土産として残していくのだそうだ。

 『春秋』子はその様子を<両国に焦る様子は見えない。冷めたけんかと呼ぶべきか>と書く。そして最後は<カナダ軍が置いた酒の箱に「カナダ領にようこそ」と書いてあったそうだ。デンマーク兵はニヤリと笑って飲んだに違いない>と結んでいた。

 駐留するのは、ともに若い兵士のはず。長年、相手のビールを飲んでいるうち、いい知恵が浮かぶかもしれない。領土問題にはそうした先送りがあってもいいのではないか。こんなことを書くと連日、日本の中国、韓国大使館に抗議している人たちからは酔っぱらいの戯言か、と言われそうだが、この原稿、決して日本酒に老酒、マッコリ、ついでにウォッカをチャンポンに飲んで書いているわけではありません。

(日刊スポーツ・西日本エリア版「フラッシュアップ」2012年9月18日掲載)



竹島 (島根県)(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/竹島 (島根県)
尖閣諸島問題(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/尖閣諸島問題
ハンス島(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ハンス島



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