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都構想のゾンビ化こそ税金の無駄使い
〜 住民投票の2度実施を大阪市長が言及 〜

吉富 有治
大阪
 昨年5月17日の住民投票で否決された大阪都構想が、いままたゾンビのように蘇ろうとしている。"ポスト橋下"として昨年12月に就任したばかりの吉村洋文大阪市長が2月25日、都構想の是非を問う住民投票を2回おこなう可能性があると定例会見で述べたのだ。


 昨年5月の住民投票には約7億8000万円もの税金が投入されている。2回も実施するとなれば、単純に計算してこの倍の額だ。大阪維新の会以外の他党からは早くも「税金の無駄」といった批判が飛び出している。

 これには伏線があった。昨年に大阪都構想が否決されて以降、松井一郎知事と大阪維新の会は「大阪を副首都に」というスローガンを持ち出してきた。だが、これはパッケージを替えたにすぎず、本音は都構想の実現にある。そのため松井知事らは大阪府と大阪市に「副首都推進局」という部署を設置し、ここで新たな都構想の設計図を作るとしている。ただし、副首都と言っても定義すら明らかではなく、府市が有識者を定期的に招いて副首都の中身を議論する会合で、作家の堺屋太一氏は「10万人を集めて大盆踊り大会をやろう」などと、聞いていてこちらが恥ずかしくなるような話ばかりに終始している有り様なのだ。

 この副首都推進局の設置に一役買ったのが公明党だった。同党は都構想に代わるものとして「総合区」を新たに提唱し、この案の検討を条件に副首都推進局の設置に賛成した。ちなみに総合区とは、行政区である現在の大阪市内24区をいくつかのブロックに分け、総合区長に予算の執行権など今より大きな権限を持たせるもので、大阪市を残したまま現在より住民自治が充実するものだとしている。

 さて、副首都推進局では副首都の具体化以外に都構想と総合区を同時に検討することになったのだが、ここで素朴な疑問が湧いてくる。そもそも都構想と総合区は本質的にまったく異質なものであり、同時に検討はできても同時の実施は不可能。となると、最終的にはどちらを選ぶかの選択が迫られ、誰が、いつ、選ぶのかが問われてくる。府市の両議会なのか、それとも大阪市民なのか。実は、この点がまだ明らかになっていないのだ。

 そこで2月25日に開かれた市長定例会見で、私はこの疑問を吉村市長にぶつけてみた。市長は「今後の議論によっては変わるかもしれないが」と前置きした上で、「最終的には有権者が決めるもの」とし、任期中に住民投票を実施する意向だと断言した。吉村市長が住民投票の実施に言及するだろうことは私も予想していたが、疑問はそれだけではない。いったい全体、どのような法的根拠を持った住民投票によって都構想と総合区を比較するかという問題が残るのだ。
大阪

 いわゆる都構想とは政令市の廃止と特別区の設置のことであり、この是非については「大都市地域特別区設置法(大都市法)」という法律によって有権者に問われることになっている。言うまでもなく、昨年5月の住民投票は大都市法を根拠に実施されたものだ。しかし、この法律による住民投票では大阪市の廃止の是非を問うことはできても、総合区など他の対案と比較することは不可能である。もし第三の選択肢を持たせようと思えば、大都市法を改正するか、あるいは条例による住民投票を先んじて実施するしか手段はない。

 この点についても私が再び吉村市長に問いかけると、市長は「大都市法の改正は考えていない」とし、新たに条例を制定することで都構想と総合区のどちらを選ぶかの住民投票の実施もあり得ると語った。だが、もし条例による住民投票で大阪市民が都構想に軍配を上げた場合、今度は大都市法に基づく住民投票を実施せねばならず、冒頭に書いたように税金の無駄使いという批判を招くのは必至となる。

 それだけではない。1回目の住民投票の結果、仮に総合区が賛成多数だったとしても、大都市法による住民投票と違って条例によるものは法的拘束力を持たないのだ。そのため1回目の住民投票の結果を議会が無視することは法的に可能となり、民意を軽視して大都市法の住民投票を強引に実施することもできるのである。吉村市長が述べたように住民投票を2回おこなうにしても、条例の住民投票の結果をどう担保するかという問題も発生してくるだろう。

 一方、この市長の見解ついて公明党市議団の明石直樹幹事長は私の取材に対して、「都構想の是非は既に昨年の住民投票で決着がついており、いま、また住民投票によって特別区と総合区を比較するようなことは認められない」と強い不快感を示していた。大阪市が住民投票の条例案を議会に提案しても公明党が賛成するかはわからない。


 都構想問題の決着はついたと思っていたのに火種はくすぶり、まだまだ紆余曲折はありそうな気配。そんなくだらん議論をしている暇があれば、大阪をどう盛り上げていくかを考えてほしい。これが大阪市民の率直な気持ちだろう。

(2016年2月26日)



副首都に名を借りた?大阪市の廃止・分割?(BLOGOS)
 http://blogos.com/article/156064/
大都市地域特別区設置法とは(コトバンク)
 https://kotobank.jp/word/大都市地域特別区設置法-1701954
都構想+総合区(Google 検索)
 https://www.google.co.jp/search?q=都構想 総合区

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