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連載「大阪ダブル選挙」その6
場外乱闘

吉富 有治
大阪
 11月22日に投開票の大阪ダブル選挙。府知事選、市長選ともに告示され、いよいよ本格的な選挙戦がスタートする。大阪府内や大阪市内の各地では各陣営の候補者が街頭に立ちってそれぞれの公約をアピールし、ときには対立陣営を激しく口撃する。新聞やテレビ、ラジオも候補者を招いての討論番組を企画、ダブル選挙を盛り上げようと躍起になっている。もっとも、各政党とマスコミの思惑とは裏腹に、有権者は前回ほどの関心は失っているようである。


 朝日新聞と朝日放送が10月下旬に実施した大阪府民を対象にしたアンケート調査によると、ダブル選に「大いに関心がある」と答えたのは43%。対して前回2011年のダブル選では「大いに関心がある」は59%もあり、今回の調査は前回に比べて16ポイントも低く、それだけ関心が低いことが読み取れる。もちろん告示前の調査なので告示後は盛り返す可能性もあるが、関心の低さの理由の1つは選挙戦とは無関係な、実に呆れた「場外乱闘」が繰り返し演じられているからだろうと思われる。

 その場外乱闘の最たるものは維新の党の分裂騒動だろう。昨日まで同じ党の仲間を今日になると口汚く罵る様子は、大阪の有権者だけではなく多くの国民が眉をしかめる事態になった。この場外乱闘の様子が連日のように新聞紙面を飾り、大阪の有権者にとっても政治不信は増幅される一方だ。ダブル選への興味と関心が失われているのは、このような背景も一因としてあるのではないのか。この事態に危機感を抱く大阪維新の会の議員は決して少なくない。

 橋下徹大阪市長と行動を共にする大阪系の国会議員らが維新の党を割って出て、10月31日には新党「おおさか維新の会」を結党式をおこなった。橋下さんは新党の結成によってダブル選挙に弾みをつけたい考えだが、冷静な有権者ほど白けた目で眺めている。新党結成の裏に潜む打算的な思惑を感じ取っているようなのである。

 この新党結成、一部報道によると大阪維新の会のある府議は「まだ離婚も成立していないのに結婚式をやるようなもの」というコメントを紹介し、維新の内部でも納得していない議員がいることを指摘している。私も維新の複数の議員に確認したところ、「話題作りにすぎない」「かえって有権者の反感を買うのではないか」と当惑している様子もうかがえた。無理もない。この新党結成は新たな野党再編の一歩を狙うといった建前とは別に、維新の党の松野頼久執行部に対してイジメにも似た揺さぶりをかけることが背後に存在し、その隠れた思惑は国民の多くも気がつきはじめているからである。

 大阪系の国会議員が維新の党を割って出たと言っても、かれらは松野頼久執行部から「反党行為」の烙印を押されて除名処分となり、党から追い出された流浪の身。対して反発する大阪系の議員らは除名処分が無効だとして意義を申し立てている。また松野さんについても「代表の資格はない」として維新の党には現在、執行部は不存在という立場を貫いている。その立場を鮮明にするために10月24日には大阪系の国会議員らが中心となり独自の臨時党大会を開催、ここで新代表の選出と維新の党の解党を決議した。

 同時に大阪系の議員らは維新の党を「ニセ維新」と罵っている。その意味は、かれらの新党こそ改革政党であり、自分たちこそ正義だとアピールしたいからだろう。だが、新党立ち上げの狙いは来年の政党交付金の給付を間に合わせるためでもある。また、臨時党大会で選出された馬場伸幸衆院議員らが新党に参加せず維新の党の解党手続きに専念するのは東京系の松野執行部を日干しにする作戦だからである。大阪系の一部の国会議員が維新の党に居残れば総務省も政党内部のドタバタには関与できなくなる。そのため、その間は政党交付金は凍結されて松野執行部は金欠になって日干しになってしまうということなのだ。

 しかし、所せんはカネの分捕り合戦と党利党略のメンツ争い。こんな場外乱闘を演じられても政策論争とは無関係だ。国民不在の茶番劇であることは有権者の多くも敏感に感じ取っており、だからダブル選挙も盛り上がりに欠けてしまうのである。

 一方、対立陣営の自民党に場外乱闘はないかというと、それも怪しい。自民党大阪府連は共産党に支援要請はおこなわないと決めていたのに、同党の柳本卓治参院議員が10月29日、大阪市内で開かれた共産党系の会合に出席。共産党の山下芳生書記局長(参議員)と手を握って掲げ、「反大阪維新」勢力結集を訴えた。これが党規に違反するとして府連の中山泰秀会長(衆議員)から口頭で厳重注意処分を受けることになり、これをマスコミは大々的に報じ、自民党の支持者を呆れさせる結果になってしまった。

 また、柳本参議員に厳重注意を与えた中山衆議員はといえば、府連幹部が推薦候補の応援に汗を流していた夜に不倫現場の証拠写真を週刊誌に撮られて赤っ恥をかき、同じく支持者と自民党府連の議員から大いに反感を買っている。


 維新の会と自民党、いずれもダブル選挙とは関係のない場外乱闘に明け暮れるのも、有権者にとっては迷惑な話だろう。

(2015年11月5日)



連載「大阪ダブル選挙」その5 平松邦夫さんインタビュー 2
連載「大阪ダブル選挙」その4 平松邦夫さんインタビュー 1
連載「大阪ダブル選挙」その3 「ねじれ」に苦悩する政党
連載「大阪ダブル選挙」その2 大阪都構想を争点にすることの是非
連載「大阪ダブル選挙」その1 候補者の擁立が進まないそれぞれの事情


「大阪 選挙」の検索結果(Yahoo!ニュース 検索)
 http://news.search.yahoo.co.jp/search?p=大阪+選挙
維新の党(Wikipedia)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/維新の党
大阪模擬選挙2015|大阪府知事選・大阪市長選を題材に全国で模擬選挙
 http://osakamogisenkyo.strikingly.com/

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