JavaScriptが使えません。 BACK(戻る)ボタンが使えない以外は特に支障ありません。 他のボタンやブラウザの「戻る」機能をお使い下さい。
本文へジャンプ サイトマップ 検索 ホームへ移動
ホーム 更新情報 フラッシュアップ スクラップブック 黒田清JCJ新人賞 活動 事務所

Webコラムのコーナートップへ
連載企画「大阪都構想を考える」その11
[番外編]続・聞いてみた大阪市職員の本音!
心配な行政サービスの切り捨てと有料化

吉富 有治
大阪
 今回も先週に引き続き連載企画の番外編として、大阪市職員の本音を紹介する。


―もし大阪都構想で財政難になれば市民生活はどうなるか。
事業局勤務C 最初の1、2年は、新しい行政体制への移行に伴う大混乱と新特別区長や新特別区議会の選挙などのお祭り騒ぎに紛れて、財政難がクローズアップされることはないだろう。

本庁勤務A 大阪府庁も大阪府議会も特別区に対してすぐには理不尽、高圧的といったエゲつないことはしないだろう。

区役所勤務D けれど落ち着いて来ると、果たしてどうなることか。

事業局勤務E そのときは財政問題のオンパレードになる。区民サービスを良くしようとして特別区長や特別区議会が次の選挙向けに張り切っても、いかんせんお金がない。府は府で2千億円を特別区に渡したくない。

本庁勤務A 心配なのは、ちょっと思いつくだけでもゴミ回収、道路補修、下水補修、街灯取替、公園の修繕、道路や公園の樹木の剪定(「せんてい」。樹木の枝を切って形を整え、風通しを良くすること)や草刈り、学校校舎の修繕、市民健康診断、巡回健康相談などだ。これまで当たり前にやっていた市民サービスは一体どうなるか。市民に必要なものは全て有料になるかもしれない。

事業局勤務C 極端な話、消防車や救急車も有料になるかもしれない。保育所や幼稚園の保育料などもバカ高くなる。まさかとは思うが、自然災害対策を置き去りにする可能性すらある。

区役所勤務D 区役所と地域の方々との触れ合いや安全パトロールもなくなるか、有料になるかもしれない。

区役所勤務B 総じて行政サービスは切り捨てられるか、有料になるかだろう。財政不足はいずれ職員のリストラへとつながり、そうなるとさらに行政サービスの質が下がる。一方、特別区と大阪府では住民そっちのけで予算の分捕り合戦が続く。でも、結局は府に押し切られて特別区は泣きを見るだろう。

一同 そして、こんな町に住んでいられないと住民の流出が始まる。こんなはずじゃなかったと誰もが後悔する。

事業局勤務C 財政不足で行政サービスが低下した結果、住民が大阪府外に流出する。そして特別区の税収が下がる。企業は大阪から逃げ、そのため仕事も減ってしまう。

事業局勤務E 近隣市町村の住民は大阪市内で働き、住んでいる市町村に住民税を納めている方が多い。仕事が減ると給料も減るから、近隣市町村も住民税収入が減って財政難になる。

一同 そして、そう遠くない未来に大阪府全体が大変なことになる。大阪府が府下の市町村を支えてくれれば良いが、その大阪府の借金は6兆5千億円。しかも年々増えているから、市町村も大阪府を頼るに頼れない。
―近々、住民投票のための住民説明会があるようだが。
区役所勤務B とにかく大阪市民の皆さんは具体的なことを担当者に尋ねてほしい。良いと思うことも不安なことも、また嫌なことでも、どんな細かなことでも質問すべきだ。

区役所勤務D 窓口で市民の方から将来どうなるのかと尋ねられても、きちんと答える具体的な材料が現場にはない。だから説明会で聞いてほしい。

事業局勤務C もっとも、橋下市長は「大丈夫です」とおっしゃるだろうけど。

本庁勤務A しかし橋下市長もいつまで大阪市におられるか。現にこの10年、市長交代のたびに市政方針が転換し、時の市長の約束事はそのたびに覆ってきた。それに特別区になるのなら、次の市長選挙で当選した市長が最後の大阪市長ということになる。その最後の市長の市政方針は今の橋下市長の方針と同じなのだろうか。

事業局勤務E そして市内が5つの特別区にバラバラに分割されたら、それぞれの特別区長は「選挙で選ばれた」「民意だ」と言って、橋下市長の考えと全く違うことをやり出すかもしれない。そうなると大阪都構想が描いていた当初の理想や姿から、さらに遠く離れたものになる。

一同 協定書の記載があいまいな以上、大阪市民270万人の暮らしや将来も、また大阪の未来も「あいまい」だということだ。
―なぜ橋下市長は職員に「かん口令」を発したのだろうか。
一同 市長は頭が良く、庶民の実生活もよくご存じだ。だから大阪の未来を憂う気持ちも強い。しかし、表面とは裏腹に内心では都構想のあいまいさや危険さもよくおわかりだと思う。けれど、ここまで来れば市長にも止められない。職員の素朴な声が漏れるのを市長が嫌忌されるのは、実はご自身が非常に複雑な心境だからではないか。だからテレビ出演も取材も説明会もすべて「自分が話す」となるのだろう。
(2015年4月21日掲載)



連載企画「大阪都構想を考える」その10 聞いてみた大阪市職員の本音!
連載企画「大阪都構想を考える」その9 わかりやすい政治からの脱却を
連載企画「大阪都構想を考える」その8 賛成派の方々の取材が…
連載企画「大阪都構想を考える」その7 東京都世田谷 保坂展人区長
連載企画「大阪都構想を考える」その6 自民党府議団 花谷充愉幹事長
連載企画「大阪都構想を考える」その5 住民にやさしい基礎自治体
連載企画「大阪都構想を考える」その4 大阪府市の二重行政は本当か
連載企画「大阪都構想を考える」その3 欠ける成長戦略
連載企画「大阪都構想を考える」その2 都構想の外観を眺めてみる
連載企画「大阪都構想を考える」その1 都構想のルーツを探る

大阪都構想(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/大阪都構想
大阪都構想(Yahoo!ニュース検索)
 http://news.search.yahoo.co.jp/search?p=大阪都構想
大阪都構想 二重行政のムダをなくす。豊かな大阪をつくる。(大阪維新の会)
 http://oneosaka.jp/tokoso/

戻る このページのトップへ