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連載企画「大阪都構想を考える」その8
賛成派の方々の取材ができなかった事情について

吉富 有治
大阪
 先週までは大阪都構想に反対する大阪府の府議会議員と東京特別区の区長にお話をおうかがいし、今回からは賛成派の方々の意見を紹介する予定だった。しかし結果として取材はできなくなり、残念ながら都構想の意義やメリットなどをお届けできなくなってしまった。ここでその事情をご説明したい。


 今回の連載にあたり、私は大阪維新の会本部を通じて浅田均政調会長に2月6日、書面と口頭により取材を申し込んだ。ところが維新の会本部から2月9日に届いた文書(写真)には「橋下代表が取材に応じます」等と記されており、しかも「取材は公開になります」という一文まで付けられていた。つまり私が希望していた浅田さんへの取材は断られ、おまけに余計な条件までくっついてきたわけである。

維新の会本部から届いた文書

 さっそく維新の会本部に電話を入れ、「なぜ橋下さんなのか」「なぜ公開なのか」を担当者に質問した。まず取材相手が浅田さんから橋下さんに代わった理由としては、浅田さんご本人が都構想を語るには自分はふさわしくないという謙遜からであった。しかし私が思うに、浅田さんは大阪維新の会きっての理論家である。その持てる知識と経験を動員して都構想の意義、肉付けに努力された方である。また府市法定協議会では会長を務め、5月17日の住民投票に付される特別区設置協定書の内容や細部には誰よりも詳しい。これ以上の適任者はおらず、反対派の論客である自民党府議団の花谷充愉幹事長(連載6回目に登場)のカウンターパートとしても最適な人物である。以上の理由から橋下さんへのインタビューではなく、当初の希望通り浅田さんの取材を再依頼した。なお、私が橋下さんへの取材を断ったのは以上の理由だけではない。「取材」ではなく、「議論」に持ち込まれることが明白だと思われたからである。それは維新が提示した「公開」という条件が明白に物語っている。

 さて「公開」の意味を維新本部の担当者に問うと、「(吉富によって)意図的な編集を受ける恐れがあるので(予防のために)取材風景は公開したい」といった趣旨の返答が戻ってきた。そこで私は「そのようなことがないようにインタビュー部分の原稿は事前にチェックしてもらう」「記事では私の意見は述べない」と何度も説明を繰り返した。本来、この時点で取材風景を公開する根拠など消えているはずである。だが、それでも維新側は「公開」にこだわり、また取材に応じるならば橋下さんだと譲らなかった。なお不思議なことに、これまで維新の議員らに記者が取材する風景をネット動画などで「公開」したことがあるのかと質問すると、担当者は「ない」という。光栄なことに私が初めてなのだそうだ。


 私が「公開」を拒否する理由をもう1つ述べたい。筋違いと勘違いがはなはだしいからである。以下は、その筋違いの喩え話である。例えば朝日新聞が独自企画として維新の議員に取材を申し込むと、維新側は読売テレビも同席させたいと条件を付けてきたとしよう。しかもリアルタイムの「公開」である。このような場合は通常、朝日新聞はそんな条件など呑まないものだ。せっかくの単独取材が台なしになるからである。読売テレビが取材したければ同局が独自で申し込めばいい。これは維新が持つネットメディアであっても同じことだ。私と浅田さんとのやりとりをネットなどで「公開」したいのなら、それは維新メディアがあらためて私に取材を申し込むのが筋だろう。

 以上のやりとりから推察できるのは、取材を受けると言いつつ維新が「公開」にこだわるのは、私と橋下さんとの対決を意図的に演出し、その風景を世間に公表してプロパガンダに利用する目的があるとしか思えない。取材に対する「説明」よりも「討論」にウエイトを置き、「反対派の吉富を論破した」などと市民に訴えたいからだろう。仮に対決を煽る意図がないというのなら、それならそれで維新の会が単独でネットメディアなどを利用して橋下さんの意見を「公開」すればいいだけの話である。大阪には橋下ファンは多い。喜んで見てくれる人は大勢いることだろう。私としては維新の広告塔に利用される気持ちなどさらさらなく、かつ公開の根拠も見当たらないので結果として取材はお断りした次第である。

 なおその後、維新の会は浅田さんが取材に応じると打診してきたが、またもや「公開」の条件付き。その理由も同じもの。以上述べてきたように「公開」の根拠もないので、この申し出もお断りした。こちらとしては普通に取材を受けてもらいたいだけである。

 また、世田谷区の保坂展人区長(連載7回目)のカウンターパートとしては大阪府北部の某市長に取材をお願いした。この市長は普段、ツイッターなどで維新の会や都構想に理解を示す意思を示されていることから、賛成派の首長という認識のもと取材をお願いしたわけである。ところが市の広報課を通じて戻ってきた返事は「庁内で(取材に応じるかどうかの)議論はあったが、大谷昭宏事務所のホームページでは公平性が担保できないという結論になった。他の媒体なら取材に応じる」というものだった。ここでも維新の会本部とのやりとりと同様、連載のインタビューでは事前に原稿をすべてお見せすると説明した。だが、担当者は「決まったことなので」「やはり公平性が担保できないので」の一点張り。ちなみに、これまで登場していただいた花谷幹事長、保坂区長からは「公平性が担保できていない」といった苦情はいっさい届いていない。なお担当者は「取材拒否ではない」と説明するが、どう考えても取材を拒否したとしか受け取れない。そのため、こちらの賛成派市長も取材はできなかった。


 賛成派の声をお届けできないのは残念だが、以上の経緯と事情をご理解たまわりたい。

(2015年3月31日掲載)



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大阪都構想(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/大阪都構想
大阪都構想(Yahoo!ニュース検索)
 http://news.search.yahoo.co.jp/search?p=大阪都構想
大阪都構想 二重行政のムダをなくす。豊かな大阪をつくる。(大阪維新の会)
 http://oneosaka.jp/tokoso/

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