最大の問題は効果額がコストを大きく下回っていること。大阪を元気にするためには、いわゆる大阪都構想しかないと維新の会は主張するが、二重行政の解消といっても、その効果額は少なくコストも莫大だ。"都構想"はコストのかかる単なる大阪市分割廃止論にすぎない。もう1つは経済対策がさらに遅れることだろう。5月17日の住民投票で賛成多数になったら、スタートする2017年4月までの2年間は広域自治体も基礎自治体も大混乱になる。この間、大阪府も大阪市もスタートに向けた内向きの仕事しかできなくなる。さらにはスタートしても維新が主張する効果が現れるまでに15年を要する。つまり、延べ17年間は大阪の景気対策はほぼできない。その間に大阪は終わってしまうだろう。
成長戦略など、特別区設置協定書にはまったく書かれていない。書かれていないことはしゃっべったらダメだと思う。住民投票に付すのはあくまでも協定書の是非。それ以外はすべて付随した説明、希望的観測だ。
大阪府と大阪市が協力して大阪経済を引っ張っていく必要がある。そこで府と市が政策協調して、同時に財政負担をどうするかを考えることは私も同感だ。その役目を担っているのが、自民党が提案する「大阪戦略調整会議」(注)であり、府市の問題は、その中で決めていけばいいと思っている。 (注)いわゆる大阪都構想の対案として自民党が提案したもの。大阪府と大阪市の二重行政の解消のため、知事と市長、府議、市議らで政策調整を行う条例による設置機関。
これまで話し合いもしたことがないのに、なぜそのような批判になるのかわからない。「話しあいでは、いつまでたっても結論が出ない」というのはマイナスのイメージを広めたいからだろう。大阪戦略調整会議は全体の最適な答えを見つけるもの。府知事と市長、府議会と市議会による総合的な議論の中で、誰が一番の解決法を提案しているのか、どこに課題があるのか、これがはっきりしてくると思う。ちなみに今なお府知事と市長からは、何が二重行政の無駄なのか、府市を統一した場合の効果とコストについての説明、説得すら受けていない。
市会議員は二重行政はないと言っている。一方、私たち府会議員は二重行政の有無にかかわらず府市の間に同じ事務と無駄があるのなら、それを省くために検討する必要があるという立場である。
私たちは二重行政が「ある」とは一度も言っていない。二重行政の無駄があるのなら解消しないといけないと言っている。その解決の場が大阪戦略調整会議。維新の会が言う旧WTCとりんくうゲータタワービルの失敗は二重行政によるものではなく、政策の誤りによるものだ。
まず行政サービスが低下する可能性は否めない。維新が言う行政サービスを維持しながら公務員の数を減らしていく、これは理論上は可能かもしれないが実際はわからない。それをあたかも行政サービスは低下しないと断言するのはどうなのか。特別区以外の大阪府民も同じだろう。府下42市町村の税金が特別区(旧大阪市)に使われてしまう可能性はあるし、その逆に旧大阪市内から外へ流れていく蓋然性は高いと思う。
都区協議会は知事と5人の特別区長で構成されている。話し合いの多くはお金(予算)の分捕り合戦なのだから、着地点は見出しにくいだろう。そうなると、最後に判断するのは大阪府議会だが、府議会の構成を見ると特別区選出の議員は全体の3割ほど。これでは特別区の意見はかき消され、そうなると話し合いでの解決も難しいだろう。
(しばらく考えて)何もない。他の重要なこと(政策、行政改革など)を捨ててまで(都構想を)選択したいとは思わない。メリットなど何ら見当たらない。