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連載企画「大阪都構想を考える」その2
都構想の外観を眺めてみる
〜 中身は東京23区とほぼ同じ大阪都

吉富 有治
大阪
 「大阪都構想」とは、いったいどのようなものなのだろうか。そこで、まずは原点に戻って大阪維新の会の主張に耳を傾けることにしたい。大阪維新の会のホームページの「大阪再生マスタープラン 大阪府域の再編」には大阪都構想の概要について次のような文言を見ることができる。
  1. 住民の生活基盤(安心)に関わる事務は基礎自治体が、また、産業基盤(競争・成長)に関わる事務は広域自治体がサービスの提供主体になるという役割分担により、「強い広域自治体」と「優しい基礎自治体」で大阪府域を再編する。
  2. 新たな統治機構(大阪府とグレーター大阪(大阪市と隣接周辺市)の一体化が中心)を構築する。
  3. 都(仮称)制下に府内に適正な数の基礎自治体を構成する。
  4. 大阪の潜在可能性を顕在化させ成長戦略を策定する。
  5. アジアの拠点都市に足る都市インフラ(道路、空港、鉄道、港湾等)を整備する
  • 新たな統治機構(大阪府とグレーター大阪(大阪市と隣接周辺市)の一体化が中心)を構築する。
  • 東京23区相当の中心部で都区(仮称)を構成する。
  • 都区は東京都の特別区よりも権限と財源を有する基礎的自治体である。
  • 都区の首長は公選制とする。
  • 都区に議会を置き議員は公選制とする。
  • 都区制の下、現府内に適正な数の基礎自治体を構成する。


 これらが大阪維新の会が政策として目指す「大阪都構想」の青写真、概要である。つまり、維新の会が言う大阪都とは「2.新たな統治機構(大阪府とグレーター大阪(大阪市+隣接周辺市)の一体化が中心)を構築する」「3.都(仮称)制下に府内に適正な数の基礎自治体を構成する」「・東京23区相当の中心部で都区(仮称)を構成する」とあることからも直観的に理解できるように、見た目も中身も東京23区とほぼ同じものと考えてよい。都全体の広い行政範囲を受け持つ大阪都(=広域自治体)と、その下に住民サービスがおもな行政事務となる自治体(=基礎自治体)がぶら下がる二層構造である。これは特別区設置協定書にも記されている通りである。

 さて、大阪都の下に置かれた基礎自治体は従来通りの市町村と「特別区」に分かれる。この特別区の中心になるのが、いまは政令市である大阪市と堺市だ。しかし、2013年9月の堺市長選挙で都構想に反対する竹山修身さんが市長に再選したことで、堺市が廃止され特別区に再編されることは現在のところはなくなった。大阪都の中心は旧大阪市ということになる。

 一方、この世から消えてなくなる大阪市には、代わって5つの特別区が誕生することになる。協定書に記された特別区の名称は「北区」「湾岸区」「東区」「南区」「中央区」。いまは24区ある行政区が5つに再編され、人口規模が34万人(湾岸区)から最大63万人(北区)の特別区に再編されることになる。ちなみに人口63万人の北区は東大阪市(人口51万人)より多く、政令市である堺市にも匹敵する(84万人)。ちなみに住民投票で大阪都の設置が決まった場合、旧大阪市と隣接する東大阪市や豊中市、また吹田市や、大東市、門真市などが市を廃止して1つの特別区としてリスタートする場合には、大阪都構想の根拠法である「大都市地域における特別区の設置に関する法律」第13三条第2項の規定により、住民投票は必要ではなく議会承認さえあれば可能となる。

 特別区はこれまでの大阪市の行政区と違って特別区は基礎自治体(一般の市町村)と同じであるため、区長も区議も選挙で選ぶことになる。特別区が区議会を持ち、かつ課税権や条例制定の機能を有しながら独自の政策を行うことになる。ところで協定書には「中核市並の権限」とある。この中核市は都道府県から保健行政や都市計画、文化財保護などの事務が移譲された都市のことで、政令市に次ぐ権限を持っている。ちなみに現在の大阪24区では、東京23区のように区議会は存在しない。行政の意志を決定するのはあくまでも大阪市と大阪市議会であり、原則的に区には自治体としての当事者能力がないので独自の政策を行うことはほとんどない。区長も公選で選ばれた者ではなく、民間から公募採用されたか大阪市の役人が人事異動してくる。

 なお、基礎自治体である5つの特別区が受け持つおもな仕事は「優しい基礎自治体」、つまり住民サービスである。区役所の窓口では住民票や戸籍謄本の交付や、福祉・文化・教育・保健行政といった区民サービスに徹し、区と区にまたがる道路事業や大規模公共事業、また地下鉄・バスなどの広域的な事務はおこなわない。

 それに対して大阪都は旧大阪市を含む広いエリアの区域を受け持ち、国との連絡調整役となる一方、港湾や地下鉄、高速道路といった社会インフラの整備、また企業誘致など産業基盤の拡充を担うとしている。これまでなら大阪市全体の都市計画にかかわる大規模事業は市が単独で受け持っていたが、これらの大きな公共事業はすべて大阪都が引き継ぐことになる。(続く)
(2015年2月17日掲載)


連載企画「大阪都構想を考える」その1 都構想のルーツを探る

大阪都構想(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/大阪都構想
大阪都構想(Yahoo!ニュース検索)
 http://news.search.yahoo.co.jp/search?p=大阪都構想
大阪都構想 二重行政のムダをなくす。豊かな大阪をつくる。(大阪維新の会)
 http://oneosaka.jp/tokoso/

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