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法定協での「反対ハンタイ」は本当か?
〜 あばたもえくぼでは困る都構想議論

吉富 有治
梅田

 「あばたもえくぼ」という言葉がある。愛する人の欠点さえ長所に見えるという喩えである。中高生の恋愛なら若気の至りだと成長の糧にもなるだろうが、大人の世界、とくに政治の世界でこれがまかり通ると困ることになる。


 大阪都構想の制度設計(法的には「協定書」)を作る場である大阪府・大阪市特別区設置協議会、通称「法定協議会」が1月31日を最後に暗礁に乗り上げている。法定協の委員でもある松井一郎府知事と橋下徹市長は「都構想の反対派のおかげで議論ができなくなった」とし、市長は辞任して出直し選挙がおこなわれる。大阪維新の会は自民、OSAKAみらい(民主系)、共産が法定協ストップの主犯だという主張、批判キャンペーンを繰り広げている。

 さて、何も知らない人がこの主張を繰り返し聞いていると、なんだか自民や共産などが法定協で「反対、ハンタイ」とプラカードを掲げて議論の妨害を続けているように錯覚しそうだが、実際は違う。現場で取材しているとわかるが、遠回りのように見えて議論は着実に進んでいる。確かに自民、民主系、共産は大阪都構想に反対なのは事実である。都構想は必要かという入り口論を展開しているのも確かだ。しかし、都構想設計の実働部隊であるお役人の集団「府市大都市局」が法定協に出してくる設計図案とやらは、ときに欠陥も目立つ。反対派が指摘するからこそ、その欠陥が浮き彫りになることを忘れてはいけない。

 たとえば、大阪都構想では大阪24区を東京都のように5から7つの特別区に再編する予定である。その特別区の補てん財源にしてくださいと、市保有の不動産を売却候補として大都市局は約400件ほどピックアップした。だが、この売却候補の不動産の中には、すでに小学校が建っていたり廃道だったりと、現実には売れないものばかり列挙されていることが公明党市議の指摘で判明している。法定協に中立派や反対派がいて、その欠陥を的確に指摘するからこそ粗すぎる設計図案はブラッシュアップされたものに仕上がるのだ。大都市局の職員の中には「われわれが気がつかなかったボロを指摘してくれたことで、より完璧なものが目指せる」と感謝している者さえいる。

 一方、維新の会は欠陥を指摘することもあるが、その数は公明党や反対派の自民などに比べて圧倒的に少なく、基本的に大都市局が出してくる設計図案を鵜呑みにしている。言葉を変えると、都構想に熱を入れあげている維新の会は「あばたもえくぼ」の喩えの通り、設計図案の欠陥すら長所としか見ていない。情けないことに公明党が指摘した売れない市有地の現実すら見抜けなかった。


 お金をかけて、見かけは立派なマイホームを建てても、住んでみたら柱は曲がって床も斜めになっていた。雨漏りがひどく、震度4の地震であっけなく崩壊した。だれがそんな家に住みたがるだろうか。大阪都構想もこれと同じで、欠陥だらけの設計図案を「素晴らしい」と絶賛だけしていては、完成した都市は落とし穴だらけになることは目に見えている。これで困るのはインチキ設計士ではなく、注文する側の大阪府民、大阪市民というわけなのである。

(2014年2月14日)

中之島


大阪都構想(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/大阪都構想
大阪府/大阪府・大阪市特別区設置協議会
 http://www.pref.osaka.lg.jp/daitoshiseido/hoteikyo/
大阪都構想(Yahoo!ニュース検索)
 http://news.search.yahoo.co.jp/search?p=大阪都構想

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