「11・27」待ったなしのW選挙
裏では狐と狸の化かしあい
吉富 有治
大阪は実質的な選挙ムードになってきた。11月27日に投開票が行われる大阪府知事選、大阪市長選のW選挙である。果たして橋下徹知事は大阪市長選にくら替え出馬するのか、府知事候補のポスト橋下には誰が立候補するのか。このような話題が連日のように大阪のメディアを飾っている。
平松大阪市長と橋下大阪府知事(資料画像)
そんな折、毎日放送ラジオの「たね蒔きジャーナル」(月〜金曜午後9時〜)という番組にスタジオ出演させていただいた。おもに社会問題を扱う硬派な番組で、この日のテーマも、ずばり「W選挙の構図と行方」である。
さて私が出演した前日、自民党が橋下陣営への対抗馬として、衆院議員の丸山和也氏を府知事選候補に推すニュースが流れていた。弁護士の丸山議員は、かつて橋下知事と「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系列)に共演した仲。知名度もあり、人気のある橋下さんが推す候補と真っ向からぶつかり合っても互角で戦える。スポーツ紙やワイドショーも「行列対決」などと報じている。報道では丸山議員の態度は「保留」。ひょっとしたら府知事選に出馬かというムードが漂っていた。
このタイムリーな話題について、当然ながら私も番組で丸山議員に出馬を打診した自民党の思惑、また勝敗の行方について質問された。しかし、私の答えは一言「出ない」。あれは自民党のアリバイ作りに過ぎないと斬って捨てた。
そもそも、丸山議員に働きかけたのは衆院議員で自民党大阪府連の谷川秀善会長である。この方の大都市制度に対する考え方は、大阪都構想をぶち上げる橋下知事と近く、本音では真っ向から知事とケンカしたくないのだ。その証拠に今年5月、自民党の国会議員10名が「大都市構想研究会」なる非公式グループを立ち上げ、大阪都構想などの勉強会を始めている。講師は「大阪維新の会」政策顧問の上山信一慶大教授。その目的は橋下さんとの連携を模索すること。しかも、その参加者の中に谷川会長がいた。橋下さんと握手したい者が、選挙で対抗馬など立てるはずがない。なぜ丸山議員に打診したかをマスコミから質問された谷川会長、「(丸山議員は)タレント枠みたいなもんやから」返答し、周囲を呆れさせた。これだけでも本気で丸山議員を担ぐ気などないことがわかるではないか。
前回の衆院選で野党に戻った自民党にすれば、次の総選挙は与党に戻れるかどうかの正念場。党本部と府連の一部には橋下人気を最大限に利用して、総理の椅子を奪い返したいという思惑がある。ただ、これには自民党大阪市議団と府議団の一部が猛反発。谷川会長ら党執行部は「維新に負けて大阪市をバラバラに解体されていいのか」と突き上げを喰らい、渋々、丸山議員に出馬を打診したに過ぎない。もし丸山議員が「出る」と言えば、本当に困るのは橋下さんではなく、実は谷川会長たちなのだ。
選挙が近づくと魑魅魍魎が跋扈し、各陣営間でせめぎあい落としあいの泥仕合が始まるもの。今回は自民党内での狸と狐の化かしあい。この先、まだまだ何が起こるかわからない。今はそんな選挙の構図と行方なのである。
大阪の将来を決めるかもしれない今回のW選挙。大阪府民、大阪市民だけは狐にも狸にも騙されない、せめて賢い有権者でありたいという願いでラジオ出演させていただいた。なお11月27日の投開票日には、同じく「たね蒔きジャーナル・選挙特番」(午後8時〜)でコメンテーターを務めさせていただく、こちらも是非お聴きください。
(2011年10月13日)
大阪府知事選挙(Yahoo!ニュース)
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/osaka_gubernatorial_election/
大阪市長選挙(Yahoo!ニュース)
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/osaka_mayoral_election/
たね蒔(ま)きジャーナル(MBS)
http://www.mbs1179.com/tane/